Vol.189『「初めの一歩」から「次の一歩」へ』 三枝 信子

 

 


『「初めの一歩」から「次の一歩」へ』

三枝 信子

特定非営利活動法人 川崎フューチャー・ネットワーク 代表理事


 2025年は阪神淡路大震災から30年とのこと。その報道を見ながらいろいろと感慨深かったのは、個人的なことになりますが、環境活動に本格的に関わるようになったのは、この年からだったからです。

 この2年後の1997年は『京都議定書』が採択された気候変動枠組み条約締約国会議(COP3)が京都で開催された年ですが、当時のことを思い返すと、そもそも「温暖化」も「気候変動」も一般的には知られておらず、報道も少なく、国際的に大変重要な会議が開催されるんだよ、と言っても、ほとんどの方が無関心という時代でした。それから考えると、温暖化、気候変動という言葉の認知度も、行政や市民の捉え方も、この30年で大きく変わりました。まだまだ国の姿勢も取り組みにも不足を感じることはあるものの、知られていなかったことが知られるようになっただけでも「変化の一歩」ではあったと感じます。

 今、同じように大きく知られるようになってきた環境課題に「マイクロプラスチック」の問題がありますが、これも10年ほど前には、今ほど大きく取り上げられることがなく、一部の環境に関心のある方たちだけが必死に声をあげている状態でした。食品ロスの問題にも似たところがあります。

 ただ、どの問題にしても、そういった問題があるのか、と気づき、知られていくだけでは解決には繋がらず、それはあくまで解決に向かう「初めの一歩」に過ぎません。たとえば、レジ袋の有料化は2020年からですが、無料のレジ袋は規制されたものの、その後、使い捨てプラスチックが劇的に減少したかと言われると、なかなか難しい評価になるでしょう。3Rは発生抑制が大事なのは言わずもがなですが、忙しない生活の中で、日々細かく気をつけられる人は少数です。仕組み自体から削減できるよう、レジ袋の次は、使い

捨てカップや使い捨ての傘袋など、削減すべき・削減できる対象は探せば簡単にみつかります。

 気候変動が問題、だからCO2を削減しないとね、と同様に、マイクロプラスチックが問題、だから発生抑制しないとね、が当たり前になるように、ここから先は「初めの一歩」から、その先の「もう一歩」にするために、次は何ができるか、考えていければと思っています。

 

三枝 信子

【プロフィール】

三枝 信子

・特定非営利活動法人 川崎フューチャー・ネットワーク 代表理事

「市民の力で川崎を“環境都市”に!」をスローガンに、川崎市を基点に活動中。

活動テーマは、気候変動、生態系保全、公害、3R、持続可能なまちづくりなど SDGs 全般にわたり、それらを繋げて考えるビジョンづくりを行っています。

・環境ファシリテーター、環境カウンセラー(市民部門)

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