環境の時代、今や国際社会の主流は、2050カーボンニュートラルに向けた脱炭素政策や循環経済である。このような状況の中で、2019年5月、環境省が中心となって「プラスチック資源循環戦略」取りまとめた。その基本原則は「3R+Renewable」である。具体的には、以下のような目標を掲げている。2030年までにワンウェイプラスチックを累積25%排出抑制すること、2030年までに容器包装の6割をリユース・リサイクルすること、2030年までに再生利用・バイオマスプラスチックの利用を倍増させることである。 そして、具体化に向けては、2022年4月1日、プラスチック新法をスタートさせた。正式名称は「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律(以下「プラスチック資源循環法」という)である。この法制定の目的は、日本国内におけるこれらの具体的な取組みをさらに加速させていくことである。プラスチック資源循環戦略の目標を実現させるため、この新たな法律は、大枠のルールを定めているものの、関係主体の自主的な役割と連携が極めて重要となっている。 また、プラスチック資源循環法が制定された背景にあるのは、海洋プラスチックごみ問題に対する国際社会での関心の高まり(海洋プラスチックごみが注目されるきっかけになったのは、エレンマッカーサー財団が2016年に発表した「THE NEW PLASTICS ECONOMY RETHINKING THE FUTURE OF PLASTICS」である。)、2021年のバーゼル条約改正によるプラスチックの輸出入管理の強化、世界の主要国や企業によるプラスチック資源循環の具体的な取組みの加速化などに加えて、特に、欧州での資源を循環させることで新たな市場や産業を創出し雇用拡大にもつなげることを狙った、サーキュラーエコノミー(循環型経済)への転換が大きく影響している。 さて、プラスチック資源は、化石燃料由来からバイオ等の植物由来に転換するとともに、再生材を各分野において幅広く活用していくことが極めて重要である。高分子化合物であるプラスチックは、各種の分子を合成して製造される人工素材となる。そこでプラスチック素材の特性や多様な分野に広く使われていることを踏まえ、革新的な技術を開発・活用するなど、多様な形状・材質プラスチックのグレード別再生材に合致した製品化を図っていくことが必要である。 しかし、わが国の使用済みプラ容器・製品リサイクルの現状は、質・量の両面で解決すべき技術的課題や改善すべき仕組み上の課題も多く、革新的なリサイクル技術の開発と社会実装等、排出から再利用までの一連の工程において高度資源循環システムの構築が急務となっている。 いずれにしても、廃プラスチックの3R・資源循環や化石資源の使用抑制と再生可能資源への転換などは、国際的に大きな転換期を迎えている。