Vol.132「『エコロジー』から『サステナブル』へ」 戸川 孝則


「『エコロジー』から『サステナブル』へ」

戸川 孝則

 昨年の12月に開催された「エコプロ2019」は副題に「持続可能な社会の実現に向けて」とあり、2018年の「SDGs時代の環境と社会、そして未来へ」、2017年の「環境とエネルギーの未来展」とは大きく変化したイベントとなったと感じました。
 何よりも環境問題への対応だけではなく、SDGs への取り組みを中心に持続可能(サステナブル)な社会の実現を提案した開催となっていたのは印象的でした。

 エコプロ展は昨年度で21回目。
 “地球環境問題への意識の高まりからの循環型社会へのシフト”がメインテーマだった第1回(私の勝手な解釈ですが)から、持続可能(サステナブル)へと変容しているように感じます。

 私は元々、家業がリサイクル事業者だったこともあり、かなり早い時期から資源循環の事業に携わっていました。
 ただ、そのころは経済行為の一つとして資源循環を行っていただけだったのですが、ある時から「リサイクルを商売だけで語っていてはダメなんじゃないか」と漠然と思うようになりました。

 1990年ごろだったと思いますが、資源の価格が不安定になり、事業の方向転換を余儀なくされた時代がありました。
 その後、ご存じの通りリオサミットが大きなきっかけになり、世界中が「エコロジーを考えなければならない」という風潮になってきます。
 そんな中で、「うちはいくらで買いますよ!」という経済一辺倒の事業では商売が立ち行かなくなるという思いから社長である父親とぶつかってしまい、最終的には実家の会社を辞めることになったのです。

 1999年のエコプロ展(その頃は「エコプロダクツ展」でしたが)第1回から見学に行っているのですが、その会場で感じたのは「やっぱりこれからはエコノミーだけでリサイクルを語っていては時代においていかれる。エコロジーが重要なキーワードになる!」でした。
 それが最後の背中の一押しとなり、転職をした私でしたが、昨年の2019エコプロ展を体験し、今の職場に変わることを決心しました。

 今年2020年は新型コロナウィルスの影響で経済が大混乱に陥りそうですが、今までの「エコノミーとエコロジーのデカップリング」の議論を飛び越えて、「サステナブルとは何か」を徹底的に考えなければならないと感じています。 もしかしたら、この今は歴史の教科書に載るかもしれません。
 それならば、持続可能な社会への大いなる変容する最大最後のチャンスとして捉え、この2020年をサステナブル社会への飛躍の年にしませんか。

戸川 孝則
戸川 孝則

【プロフィール】
戸川 孝則(とがわ たかのり)

一般社団法人サステナブル経営推進機構 経営企画室 室長
横浜市環境活動賞 審査委員会 委員長
関東学院大学 非常勤講師(環境マネジメント)

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