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「脱プラとふろしき」
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ティッシュペーパーが日本上陸したのは1953年だそうな。 ネオパックという名で制止弁付きポリエチレン製袋が開発されたのは1963年。 関西のあるスーパーでポリエチレン製袋を全店に導入したのが1975年。 それを機に一気に全国に広がっていった。 当時は、ビニール袋と呼んでいた。 レジ袋と呼ばれるようになったのは、かなり後の事のようである。
ティッシュにせよ、レジ袋にせよ。市場に登場し、暮らしに取り入れつつあった頃、清潔で役立つものと、ときめきにも似た思いで使ったものだ。
京都の茶道の家元の近くにコピーライターのオフィスを開いたのは、30年ほど前。 茶の修行に来る外国人は少なくなかった。 ある日のこと、ふろしき包みを手に持つ外国人とすれ違った。
「美しい・・」。
この姿が目に焼きつき、ふろしきに着目するように。 私も銭湯に出向くとき、使ってみた。 洗面器や石鹸を包んで運ぶ、脱衣かごに掛ける、湯上りに床に敷く。
「なんと便利」。
用途は広がった。 「そうだ、毎日の買い物に」と、使ってみた。 たっぷり入る。 容器の素材や形状が違っていても、大きいものも小さなものも、やさしく包んでくれる。 ときめきを持って使っていたビニール袋の評価は、ガタガタと崩れた。
日本には、「ふろしき」があったのだ。 多用途に使え、伝統美をたたえた布。 くり返しなんども使え、ごみを出さない。 これを使わない手はない。 もっと多くの人に使ってもらえたら・・。 そんな思いで、ふわりと立ち上げた「ふろしき研究会」。 令和を迎えた今年5月、27年目を迎えた。脱プラスチックが叫ばれる今、日本で使い継がれてきたふろしきという布の役割は大きい。
<著書> 『ふろしきに親しむ』(淡交社2001) 『ふろしきの贈り物』(淡交社2004) 『つつんで・むすんで』(大日本図書2003) 英文版『ふろしきラッピング GIFT WRAPPING WITH TEXTILES』(講談社インターナショナル2005) 『ふろしきの美』(産経新聞出版 2006) 『ふろしきの包み方』(淡交社 2008) 『ふろしき自由自在』(淡交社 2014)ほか。
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