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「生活基盤を「管理」する視点」
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この分野に携わる者なら「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」は誰でも知っているだろう。 略して「廃掃法」と呼ばれることもあるが、「廃棄物処理法」の略称の方がよく使われる印象である。
本来は「処理」と「清掃」に関する法律であるが、後者の「清掃」はむしろないがしろにされているのではないか。 実際、この法律の制定後、廃棄物の処理施策、処理技術は飛躍的な進歩を遂げている一方、清掃業務は至って地味な存在のまま、地道な作業を繰り返している印象が強い。
専門書に該当するものもなかなか見つからないので、試しにWikipedia検索をしてみると(2019年8月12日閲覧)、清掃とは、「ほこりやごみなどの不要物を、室内や機器などから取り除き、衛生的な環境を整備して、人の健康を守ったり、機器の正常な動作を確保したりすること」である。 作業頻度に応じて「日常清掃・巡回清掃・定期清掃・特別清掃」等に分類され、対象に応じて「ビルクリーニング(建築物清掃)・ハウスクリーニング・カークリーニング・鉄道清掃・設備清掃・遺品清掃」等に分類される。
生真面目な日本人が地道に清掃作業を繰り返したことにより、私達の生活基盤は極めて綺麗に整備されているところばかりである。 海外に行って、改めてそのことに気づく人も多いであろう。 逆説的ながら、だからこそ清掃の大切さを忘れてしまった日本人もきっと多いのではないか。
今ではどうか?
災害が発生するたびに、辺り一面はまるで荒廃した土地が覆い、壮絶なる災害からの復旧・復興を迫られることになる。 2033年には3戸に1戸が空き家という時代がやってくると言われている(※1)。 自分の周囲を見渡すと、もう何年も手に触れてもないものが至るところに退蔵されている。 そもそも、全国の私有地の約2割はすでに所有者の把握が難しくなっており、土地面積に換算すると九州の面積を軽く越えると言われている(※2)。
マイクロプラスチック問題が急激に脚光を浴びているが、ごみの散乱防止を徹底していけば何ら問題が深刻化することはないはずである。 一方で、東京ディズニーランドのように、清掃管理業務をカストーディアルとしてまるでアトラクションのように発展させている場所もある。
今後、我々には自身の生活基盤を「管理」する視点が求められるようになるであろう。 「清掃」の徹底が、その有力な手段の1つになることを信じてやまない。
【参考文献】
(※1) 河合雅司:未来の年表―人口減少日本でこれから起きること,講談社現代新書,2017. (※2) 吉原祥子:人口減少時代の土地問題,中公新書,2017.
3R・気候変動検定