Vol.123 「3R・資源循環を楽しく学び、探究するには?」 向中野 裕子



「3R・資源循環を楽しく学び、探究するには?」

向中野 裕子

 みなさんはどんな「きっかけ」で、3Rに関心をもちましたか?


 例えば、学校の勉強、仕事や子育てなど、1人1人の興味関心に応じて、多種多様な「きっかけ」があると思います。


 私は2つあります。
 1つ目は、高校3年の時、友人が循環機能不全の難病で天国に旅立ったことと、通学路の川をごみがせき止めていたことの意味が重なり、自然の循環システムや環境問題の解決方法に興味を持ったことです。


 2つ目は、大学生の時、ドイツでスーパーのレジのおばちゃんに1時間お説教いただいたことです。
 「レジ袋をください」の一言をきっかけに、おばちゃんは氷のような目つきになり、静かに、何度も繰り返しドイツの環境やマイバックの重要性を語り、ごみの分別もトレーニングしてくださいました。
 まちは学びの場であり、学んだことを実践する場でもありました。
 この経験が環境教育・学習へと橋を架けてくれたように思います。


 では、今の日本の教育に目を向けてみると、2020年度より新しい学習指導要領がスタートし、これまでの一方的に知識を教える・詰め込む教育から、「主体的・対話的で深い学び」の実現にむけて、子どもの学びが大きく進化しています。
 これらを引き出すポイントになるのが、学びに向き合う「きっかけ」づくりです。


 近い将来、世界の急激な人口増にともなう、資源の大量消費が予測されています。
 日本は「もの」や「ものづくり」に必要な資源のほとんどを世界に依存しているため、子どもたちにとってもどのように持続可能に資源を確保し、資源を有効利用するのかは、もはや避けて通れない課題となっています。
 さらに海洋プラスチック問題のように、1人の行動が世界規模の問題につながっていること、それを解決するためにあらゆる主体が垣根を超えて英知を集結し、技術や制度の開発が求められていること、そんな複雑で困難な社会を生きていく子どもたちが、3R・資源循環に関する学びを通じて、楽しみながら持続可能な社会を創造するための「きっかけ」づくりを皆様とご一緒できたらと思います。


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向中野 裕子

【プロフィール】
向中野 裕子(むかいなかの ゆうこ)

佐賀大学 農学部
東京学芸大学大学院 (環境教育) 修了

福岡大学資源循環・環境制御システム研究所 広報、(一財)日本環境衛生センター 広報などを経て、現在は(一社)産業環境管理協会 資源・リサイクル促進センター にてごみや資源循環に関する環境教育・学習を担当

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