「サステイナブルな未来は毎日の食から ~ベジタリアンというライフスタイルが地球に優しいワケ~」
川野 陽子
◎ できるなら地球に優しい暮らし方が良いと思う人や、実際に何かエコな行動をしている方は、10年前に比べると大分増えているように感じます。
それは、世の中の雰囲気だったり、教育や報道も環境問題を扱う機会が増えていたり、実際に異常気象を実感する機会も増えているからだと思います。
しかしながら、私が実践していることの1つ「ベジタリアンな生活をする」ということが、地球環境に優しいことと結びつけて考えることは、日本ではまだ少ないように思います。
さらに「偏っている」「不健康」「変な人」というようなネガティブなイメージをもつ人が多いのが事実です。
私は一時期ベルギーやイギリスで暮らしたことがあり、また日本でも仕事上外国人と関わることが多いのですが、彼らに私がベジタリアンと伝えると、たいていポジティブな反応が返ってきます。
「良いことだ」「自分も地球のためにもレスミート心がけている」こういった反応は、ベジタリアンが地球に優しいことの理解が進んでいるからだと思います。
図1:フランスで食べた、完全ベジタリアン(肉・魚・卵・乳・乳不使用)のハンバーガー
では、なぜベジタリアンが地球に優しいのでしょうか。一部ご紹介します。
1.肉の生産にはその何倍もの穀物・野菜が必要
例えば、1kg の牛肉を作るに10kgの穀物・野菜が必要であり、人が直接穀物を食べる方が効率的です。
2.地球温暖化に関して
家畜産業に起因する温室効果ガスの排出量は、車・飛行機・フェリー等、全ての交通機関からの総排出量よりも大きいと国連が発表し、私も大変驚きました。
3.資源に関して
家畜産業のシステムは地球の土地全土の45%を使用、淡水の20-33%を使用しているそうです。
図2:イギリスの工場畜産ではない農家を探して訪問した際、肉になる前に懐いたブタ
ほんの一部ではありますが、このような情報からもベジタリアンはよりサステイナブルだと考えられます。
さらに、食糧になる動物が減るということも地球にとってのメリットです。
なぜならば、今は「工場畜産」と呼ばれる家畜の育てられ方が主流だからです。
そこでは、身動きが取れないほどの狭い場所に動物が詰め込まれていたり、その大量の動物の糞尿、血が海や土地を汚染していたり、動物への抗生物質等の薬が大量に使われたりするからです。
地球のことを考える行動はたくさんあると思います。
その中の1つにベジタリアンの食生活やそれを心がけることがあることも、ぜひ知っていて頂けたら幸いです。
また、世界に目を向けると、ベジタリアンのムーブメントは起こっています。
著名人がベジタリアンであることを表明したり、ベジタリアンのレストランが繁盛していたり。
ビートルズのポール・マッカートニー氏も「週に1日はベジタリアン」というMeat Free Mondayを世界に発信しています。
私が2年前にポールにインタビューした映像があるので、ぜひご覧ください。
(Youtube: https://www.youtube.com/watch?v=Q1evfezGIps )
図3:ポール・マッカートニー氏インタビュー後の写真。右から2人目が川野@東京ドーム
© 2015 MPL Communications Ltd/Photographer: MJ Kim
まだまだベジタリアンへの理解は進んでいない日本ですが、だからこそ始めたのがベジプロジェクトです。
「ベジタリアンの“選択肢”を増やす」という活動で、私が学生だった時に始め、京都大学ではベジタリアン(肉、魚、卵、乳、蜂蜜を使わないヴィーガンのレベル)メニューが食堂で提供されるようになりました。
現在ベジプロジェクトは特定非営利活動法人として、他大学や飲食店、社食、自治体にベジメニューを導入しています。
また、認証やマップ、webメディアの運営、イベント、動画制作等もしています。
活動は多岐に渡りますが、全てキーワードはベジタリアンです。
なぜここまで私がベジタリアンな活動を続けるのか。
それは、ベジタリアンというライフスタイルに地球のサスティナビリティや平和の可能性を感じているからです。
地球や動物に負担がないライフスタイルの1つベジタリアンな食生活。
今はベジタリアン料理も美味しい時代です。
「これがベジタリアン??」と驚かれるような美味で満足なお料理もたくさんあります。
ベジタリアンの世界は奥が深いです。ぜひ、トライしてみてください!
また、ベジの選択肢が増えたら良いと感じている方、ぜひベジプロジェクトにジョインしてください!
図4:スローフードのイベントでベジタリアンを紹介している講演
図5:ベジプロが居酒屋チェーンにベジメニューを導入した祝賀会
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