今月の漫画とコメント
「矛盾環型社会」
コメント:3R検定実行委員 村岡良介
平成19年度の全国の産業廃棄物の排出及び処理状況等の調査結果が環境省より発表された。これによると、全国の産業廃棄物の総排出量は4億1,900万トンで、このうち再生利用量は52%で前年度より400万トン増加し、最終処分量は200万トン減少しているそうである。
これらの数値から、東京ドーム(容積:124万m³)338個分にも相当する膨大な産業廃棄物の約半分超がいわゆるリサイクルに回って循環資源となり、天然資源の消費が抑制され、焼却処理や埋立処分などにより発生する温室効果ガスが削減されていると考えれば、循環型社会と低炭素社会が統合的に推進されていると評価できる。
しかし、問題は産業廃棄物の排出量である。排出量は、直近の5年間では4億1千万トンを超えていて、循環型社会形成推進基本法が制定された10年前より増えている。一般廃棄物の排出量においても同様の状況である。リサイクルが進んでも、大量生産、大量消費、大量廃棄による経済社会から脱却できていないと言わざるを得ない。リサイクルに回すという行為が大量生産、大量消費、大量廃棄の免罪符となっていませんか?と問いかけたくなる現状である。
今や小学生が「3R」という言葉を知り、職場や家庭でも複数のごみ箱を用意し、多くの国民が分別やリサイクルに励んでいる。ごみ箱の数は増えたが、それぞれのごみ箱の中身を一緒にするとその量は以前と変わっていない。リサイクルばかりがもてはやされ、何か根本的なことを忘れていないだろうか?膨大な量の廃棄物の前で、リサイクルの実践に取り組む人々の努力は何なのか?まさに「リサイクル栄えてごみ減らず」に、「矛盾環型社会」が形成されている。