Vol.87 「みんなが知らない廃棄物業界の魅力」青木 大地



「みんなが知らない廃棄物業界の魅力」

青木 大地

僕が所属する日報ビジネス㈱は、環境ビジネス専門紙である週刊「循環経済新聞」や月刊「廃棄物」等を発行する出版社だ。
 毎年5月末には、業界で活躍する処理業者やメーカーが一堂に集う「NEW環境展・地球温暖化防止展」という展示会を東京ビッグサイトで開いたりと様々な事業を行っている。

 新卒で入社してから5年が過ぎた。
 これまでの経験が僕にとって、社会人としての生活のすべてで、ひたすら環境・リサイクル分野のニュースを追いかけてきた。
 担当する循環経済新聞では、産業廃棄物業界を対象に取材・報道しており、僕はその中でも建設系廃棄物の専門記者として関連企業を訪ねてきた。
 廃棄物の収集運搬・処分業者を訪問し、記事を書く職に就くとは学生時代に思ってもみなかった。
 廃棄物といえば、生活の中でごみ出し日に分別を意識するくらいであったから、入社当時、業界に対してぴんとこなかったのを覚えている。

 しかしながら、携われば携わるほど、奥が深く、まだまだ発展できる分野であることが分かった。
 なにより、誰かが絶対にやらなければならない仕事だが、一般人に理解されておらず、どちらかといえばネガティブに捉えられた環境のもと処分業に励む業者の方々の姿が胸を打った。
 適正処理、環境保全と一言に言っても、実践するために求められる覚悟や技術は並大抵のものではない。
 今となっては、誠実に取り組む業者を一社でも多く紙面で紹介し、全国へ発信する使命感に燃えている。

 担当分野の建設系廃棄物には、コンクリートがら、汚泥、石膏ボードといった品目が多々ある中、僕が最も力を入れて報道しているジャンルが「木くず」処理だ。
 建設・解体現場で大量に発生する木くずは、許可業者によって中間処理工場に運ばれ、破砕・分別後、木質チップに再資源化される。
 粒径や性状別に、ボードや製紙、堆肥、敷きわらの原料として利用される他、CO2やコストの削減を目的に、化石燃料に代わる燃料としてボイラーや発電所で活用されている。
 木くずの再資源化率は、2005年度が74・5%と建廃品目の中で最も低かったが、徐々にサーマル利用を中心に市場が成長し、2012年度は89・2%にまで上昇(参照:国土交通省による建設副産物実態調査)した。

 再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)が2012年7月に施行されてから、全国で木質バイオマス発電所が続々と建設されている。
 木チップの価値は高まり、これから更にリサイクルが進む。山林で放置されてきた林地残材まで扱う処理業者も増えてきた。
 国土の7割が森林である日本で、どう木材を取り扱っていくのか。
 焼却してエネルギーにすることに賛否両論はあるが、現場や有識者の声を集め、リサイクルがどうあるべきか。

 今後も一記者として模索していきたい。

 

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青木 大地

【プロフィール】
青木 大地(あおき だいち)

日報ビジネス㈱環境編集部記者。
平成3年広島県生まれ。
平成23年入社以後、週刊「循環刊経済新聞」の報道を担当。
mail:aoki@nippo-biz.co.jp


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