Vol.85 「本当の豊かさとは何か〜持続可能な共生社会を目指して〜」 田中 勝



「本当の豊かさとは何か~持続可能な共生社会を目指して~」

 

田中 勝

2015年9月、国連持続可能な開発サミットにて、2030年までに達成すべき持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)を含む「持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択され、持続可能性が国富として問われる時代となってきました。
 それは、共生社会において地球市民の「本当の豊かさとは何か」との問いかけでもあるのではないでしょうか。

 京都造形芸術大学で『百年の愚行展』が開催されました。 この展示会は、人間が為してきた愚行を告発しています。
 そのさまざまな愚行の中で、「サステナビリティ(持続可能性)」とは、人類が共有すべき人類的課題克服のための重要な指標であり、キーワードであります。

その持続可能な社会づくりを目指して、「低炭素社会」の意義を理解しながら、身近な生活の視点からアクションプランを提示しているのが、「3R・低炭素社会検定」であります。
 「3R・低炭素社会検定」は、決して他人事ではないことを気づかせてくれます。 そして、そこから学んだ取り組みは、個人から始まり、家庭、地域、都市へと繋がり、一つの地域モデルを示すことが可能となります。
 また、その地域モデルが目に見える効果を示せば、世界の模範となり、市民の誇りとなっていきます。

アメリカの平和活動家のA.J. マスティが信条とした言葉で、「平和への道などない。平和は道そのものだ。」とあります。
 マスティは、「平和」を名詞としてではなく、「動詞」としてみていました。
 つまり、平和とは、どこかにゴールがあるのではなく、私たちが生きる今、現在そのものに、秘められているということです。
 「豊かさとは何か」が問われている今だからこそ、一人一人が、かけがえのない地球、かけがえのない命に、そして、未来の世代から借りている宝物に思いを馳せながら、地球市民の一員として、“今、ここから”持続可能な共生社会を目指してまいりたいと思います。

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※作品:「平和の新世紀」プロジェクト・シリーズ『アース・メッセンジャー』
 「平和の新世紀」プロジェクトとは、米画家のベッツィ・ミラー・キュウズと現代美術家の田中勝による共同作品制作。
 ベッツィ・ミラー・キュウズの父親は、1945年の当時、あの原子爆弾製造のマンハッタン・プロジェクトの研究に携わった物理学者であり、田中勝の父親は、広島の被爆者。
 この作品は、田中勝がナイアガラの滝を撮影し、ホッキョクグマを抱いた“プロテクター(護る存在)”をベッツィ・ミラー・キュウズが描き、自然や動物が地球の危機をいち早く教えてくれことを表現。
 ミラー・キュウズは、「環境破壊は、人類が地球に対する一方的な戦争」と述べている。

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田中 勝

 

【プロフィール】
田中 勝(たなか まさる)

現代美術家/芸術平和学研究者
1969年、広島市生まれ。
東京造形大学卒業。東北芸術工科大学大学院修了。
1999年より被爆二世の現代美術家として米画家と共同作品制作を行い、マカオ大学、実践大学(台湾)をはじめ、国内外にて作品展等を多数開催。
芸術平和活動に対してサンフランシスコ議会より1999年12月7日を“「平和の新世紀」の日”と定める声明にて顕彰。
2009年、NY国連本部で作品展示。
NPO法人ART Peaceの設立代表者。


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