vol.8 ~2Rについて知る~ 山川 肇

----------------------------------------------------------------------------------------
「2Rについて知る」 山川 肇 (京都府立大学 生命環境科学研究科)
----------------------------------------------------------------------------------------
みなさんは、2Rに関する情報をどのように得ていますか?
3R 検定合格者のみなさまにはあらためて説明するまでもありませんが、2R、すなわちリデュース・リユースは、3Rの優先順位の中で、リサイクルより優先すべ きと位置づけられています。しかしこの2Rに関する情報は意外に少ないのです。自治体の広報などを見ても、一般的なこと以外はなかなか出てこないのではな いかと思います。
そこで提案したいの が、 自分で測る、記録する、ということです。2Rは生活に密着した部分が多い点が特徴です。自分が出すごみがどんなごみか記録してみる、自分で2Rに取り組ん でみて、それで何がどのくらい減らせたか数を記録してみる、そんなデータが非常に貴重な2Rの情報源になります。
あるいは商品の容器包装。どの商品を買うと、どのくらいごみが出るのか、みなさん、わかりますか?これも自分で測ってみることで、この2R行動でどのくらいごみが減るのかがわかります。そうすると、他の人に伝えるにも説得力が出てきます。
実 は、最近、商品の容器包装を測る調査を少しずつやっています。紅茶、コーヒーなどの飲料や、お肉、おかき・あられ、などの食材・お菓子などを調査しまし た。主に容器包装がどのくらいついているのか、商品によってどの程度違うのか、ということを検討しているのですが、意外に違いがあったり、思ったほど違い がなかったりと、測ってみることの大切さを実感しています。
た とえば紅茶のティーバッグ商品。1つ1つのティーバッグが紙袋等で包装されている商品と、そのまま箱につめられている商品がありますが、中身あたりの重さ に直してみると、容器包装の量はどのくらい違うと思いますか?実は個包装なしの商品では、包装材が半分以下になるのです。そんなに影響があるとは思ってい なかったので、びっくりした例です。
一 方、ペットボトル入りのお茶がいろいろと出ていますが、最近は軽量化の取り組みも進められています。500ml入り7商品を比較してみたところ、平均的な 重さのものから一番軽いものに変わったとしても1割以下の違いしかありませんでした。もちろんミネラルウォーターなど、PETボトル入り商品の中にも商品 間にかなり違いのある場合もありますが、緑茶についてはあまり大きな差がないようです。
もっとも同じお茶でも、お茶の葉を買って自分で淹れて飲む場合は、500mlのPETボトル入りを買って飲む場合と比較して、お茶1杯あたりで9割以上も包装材を削減できる計算になります。ずいぶんと違うものですね。
こ のようになんとなく感じていても、測ってみて数字で比較してみると、あらためて驚くことはよくあります。何でも測ればよいというわけではありませんが、ご みになるものがどのくらいの量なのか、ということについては、もっと生活の中で測ってみてもよいのではないかと思います。自動車の燃費については、いろい ろな人が自分の燃費データを登録するホームページがありますが、商品の容器包装についても、同じようにいろいろな人が使っている商品の容器包装を測って登 録するしくみがあると、面白いかもしれません。
も ちろん自分で重さを量るだけでは、資源の生産段階から消費・廃棄・リサイクルの段階まで含めたライフサイクル全体の環境負荷はわかりません。このような情 報になると専門家が発表する数字を探すことになります。最近はホームページを検索することでそのような情報が出てくることもありますが、やはりこのような 情報は専門家が集う学会等に集まりやすいものです。この3R・低炭素社会検定では廃棄物資源循環学会と協力して、シンポジウムを開催したり、学会が出す出 版物を3R・低炭素社会検定合格者に向けて提供したりしています。検定合格者の皆様は、すでに3Rあるいは低炭素社会関係の専門用語も理解されているわけ ですから、これらのような情報源も活用して、2Rのライフサイクル情報に限らず、さらに活動に必要な専門的な情報を得ることにも取り組まれることを期待し たいと思います。
普段の生活から地域の政策や職場の取り組みまで、3Rリーダーのみなさまの、ますますのご活躍を期待しています。



山川 肇 (京都府立大学)

■プロフィール: 山川 肇 (やまかわ はじめ)
現 職: 京都府立大学大学院 生命環境科学研究科・准教授
専 門: ごみ減量政策・ごみ減量行動
著 書: 「拡大生産者責任の環境経済学」、「ベンチマーキングで変える!自治体のごみ管理」、「地球温暖化と廃棄物」(いずれも共著)
ごみ有料化やEPRなどの政策や、リサイクル・自家焼却・不法投棄などの行動について研究してきました。最近は、主に2R行動について研究しています。

ページの先頭へかえる