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「『フードバンク』ほんとは無いほうがいい」
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最近、メディアでもすこしずつ「フードバンク」という活動が報道されてきているので見聞されている方も多いかと思います。
ほとんどのフードバンク団体は、安全に食べられるにもかかわらず廃棄されていた「食品ロス」(*1)の寄付を受けて福祉施設や生活困窮者支援団体などに届けて有効利用してもらう、というものです。
ですが、「食品ロス」がなければ、夏休みがあけたときに痩せてくるような子どもたちがいないような社会でなければ、「フードバンク」なんていらないわけで、私自身、フードバンク活動を主体とする団体を主宰してはいるものの、そういう意味では”「フードバンク」が必要でない世の中になればいい”と常々思っています。
私たちが生産者から直接食材を買う機会は、わずかとなり、その代わりに街々にはいたるところに便利なお店があって、24時間いつでも棚には潤沢に商品があって買物ができ、少し離れたところには夜遅くまであいている多種多量の食品を揃えているお店があります。 これらは全て、私たちが快適な生活を求めて買物という投票行動を通じて支持してきた結果ですが、昔、夜の6時にはどこのお店も閉まっていたような時代があったことが信じられないほどです。 しかし、それらの便利な今の生活スタイルは年間632万トン(*2)という膨大な食品ロスの上に成立しています。 それはWFP(国連世界食糧計画)が81カ国で年間7000万人以上の人々に食糧支援してきた2倍の量(*3)でもあります。
昨今、技術の進歩で廃棄された食品を、飼料や肥料、燃料に加工することができるようになってきました。 それら自体は持続可能な世の中のためにとても有効な技術の発展です。 ですが、その前に、安全に人が食べられるものまでが人の口に入ること無くそれらの加工に回されることに、私は大きな違和感を覚えます。 食べ物は私たちが「他の生命を頂いた」結果であり、それは自分たちの「生命」をつなぐためのものであったはずです。
今の消費スタイルや流通の仕組みなどを変えることができずに「食品ロス」が出てしまうのであれば、その「食品ロス」まずは、それを必要とする人々に届けるフードバンク団体に託して(*4)みてはいかがでしょうか?
(*1)海外で【food waste】食糧廃棄といわれているものが日本では「食品ロス」を意味する (*2)2015年農水省推計値 (*3)320万トン・・・ 2014年国連世界食糧計画より (*4)フードバンク団体によって取り扱いできる食品の基準や種類が違います
3R・気候変動検定