「第1回検定のころ・・・3Rの理論と実践」
前田 禎司郎 ◎ 「3R低炭素社会検定」に合格された皆様、おめでとうございます。この検定も、3Rでスタートして、途中から「低炭素」を加え、その求められる知識レベルも年々向上していることを実感しています。私自身も平成21年1月に第1回検定を受検しましたが、その頃のことを少しご紹介したいと思います。 当時、私は京都市のごみ処理業務に携わっていました。京都市のごみ行政が、プラスチック製容器包装の分別収集、家庭ごみの有料化など、大きく変わろうとしていた時期でした。掛け声として、「「循環型社会」の実現を目指せ!」と訴えてはいましたが、日々のごみの収集運搬、焼却、埋立処分の流れ(又は資源ごみの収集、リサイクル)に嵌まり込んでいると、ごみはまるで「敵」で、これを何とか「味方につけよう」という発想がなかなか湧かないというのが、正直ありました。ただ、その一方で、職員の不祥事も続き、何とか市民に評価してもらえる仕事をしなければ、「明日はない」という認識も膨らんでいました。 そもそもごみを飯の種としている我々自身が、ごみのことを誰よりも知っているのか?知っているとして、そのことをちゃんと市民の方に伝えられるのか?伝えようと努力しているのか?そうしたことが、担当者の中でもようやく問題意識として広がってきました。家庭ごみの有料化財源を活用しての3R検定がスタートするに当たって、循環型社会の追求を知識として別に置くのではなく、仕事の実際に生かさない手はない、これが私たちの気持ちでした。 業務の軸を、「出されたごみをどう処理するか」から、「ごみ自体をどう減らすのか」に移していく、これは組織の姿を変える決意が曖昧だと、絵空事になります。そこで、現場の職員が「まち美化事務所」にとどまるのでなく、市民の方が来られる「区役所」に進出する仕組みを作ろうということになり、関係部署との調整を進めました。その際、新しい職場に行く職員は、環境に関する検定(3R,エコ検定等)合格を義務付けることとしました。正直、日ごろ現場作業に追われている職員が、難しいテキストを手にして勉強しようという気になるのか心配でした。 しかし、彼らこそ使命感とその裏表の危機感を強く持っていたのだと思います。実に多くの職員が、検定を受検し、新しい職場を目指しました。まち美化事務所へ行っても、それまでは昼寝タイムであった昼休みの時間、テキストで勉強する職員の姿が見られたのもこの時期です。 現場職員を、「環境共生推進員」として区役所に送り出すに当たって、服装から始まり区役所の基本業務のレクチャーまで、いわば突貫工事で、業務の見直しを行いました。 現場経験に裏打ちされた知識を、市民のごみ出しの疑問の解決に役立てたい。不十分だったかもしれませんが、「役に立つ」仕事を目指しました。 環境を巡る知見は、原発をはじめ、その時々の状況で変わって見えます。言い換えれば、「知識」は、「現実」の前に時として立ち往生するかに見えます。しかし、知識や理念は、それを常に磨くことにより、よりましな実践につなげられると思います。 |
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