各世代の環境漫画を推薦した思い 漫画学者 陶冶 ◎今年、2014年3月10日より、中国漫画学会の名誉会長であります牧野圭一先生のご紹介で、3R国際会議(3RINCs2014)が主催し、京都大学時計台にて開催される「3R(環境・安全)国際漫画展」に、中国の環境漫画10点を推薦させていただくこととなりました。 ◎中国で数多く漫画作品の中から、10点のみに絞ることは至難の業でした。しかしながら今回は、できる限り中国の環境漫画の全貌をお見せする趣旨で、90代の中国を代表するベテラン漫画家作品から、今の中国を生きる10代の若者の感性で描いた作品(内モンゴル師範大学2年生)まで、各年代層における作品を1点ずつ選ぶことに致しました。 「汚染」 ◎もう1点は、水汚染を風刺する漫画で、現在79歳のベテラン漫画家魏鉄先生の作品です。タイトルは、そのままの「汚染」であり、本来は、泥沼からでも美しい蓮の花が咲く姿なのに、あまりに化学的に汚染された沼水により、無惨にも枯れてしまいた。露出した実が変形し、「どくろ」となって表れています。蓮花から、悲痛な叫びが聞こえてくる1枚です。 ◎「俗世間を離れる雛」は、前中国美術家協会漫画芸術委員会会長で、現代中国で最も代表的で人気のあった漫画家・故 王復羊先生の作品です。 ◎これは、中国では既に、80年代に描かれた大気汚染を諷刺した漫画です。勢いよく殻を破って生まれ出た雛が、世に出た初めての一呼吸で、汚染大気に触れて憤慨して殻に逆戻りしてしまい、それを見ているマスクをした人間は、逆戻りができて、羨ましく思っているのかも知れません。 「俗世間を離れる雛」 ◎「宇宙のユーモア」は、現在も現役である中国美術家協会漫画芸術委員会会長の徐鵬飛先生(64歳)の代表作品の1つです。 ◎宇宙で自在に星を手にとり鑑賞する神様でさえ、地球を手にした途端、我々と同じくマスクを付けなければならず、汚れた地球に無言で皮肉を言っているようです。 ◎同じく、大気汚染に関する作品は、20代の漫画家で、内モンゴル師範大学教師賀志珍が描いた「お地蔵様」です。 ◎また、ゴミ問題に関する作品が2点あります。84歳の長老漫画家の何君華先生の「太刀打ちできない」で、人間の不徳により、街に氾濫している不法なビラを指摘しています。
◎私は、日本のマンガ・アニメ文化は既に爛熟期に入っていると、受け止めています。 ◎「远古与未来」は、50代の漫画家巴・畢力格の作品で、世界の宇宙開発競争により、近い将来、狭苦しくなってしまう宇宙危機をわかりやすく我々の目の前に呈示しています。 ◎40代の作品では、本人が「安全漫画展」をテーマに描いたゴロである「手形」です。人間の贅沢や果てしない欲求を満足させるために、余分な資源を地球から奪い、子孫に受け継がれるべき地球を、根底から破壊してしまった模様を警告しています。「手形」 また、日常の生活場面にも、常に発生している安全問題を子供達のちょっとしたトラブルで表現している「責任は?」です。これは今、中国で最も人気がある若手漫画家聶峻(30代)の作品です。 ◎内モンゴル師範大学2年生姚婉欣の「共生」は、まだ完成度が高いとはいえませんが、10代の若者の感性で描いた理想郷で、現代人の眼として選んでみました。 | ◎ |
|