Vol.194『私の行動指針 「地球環境に貢献をする」 ゼロエミッションとの出会い』

 

 


『 私の行動指針 「地球環境に貢献をする」 ゼロエミッションとの出会い 』

金城 正信

金城産業株式会社 代表取締役


 私は、愛媛県松山市に本社を置く金城産業株式会社で代表取締役を務めるほか、様々な環境関連の活動に携わっています。私の行動指針は、「地球環境に貢献すること」。これは、事業活動においても、個人としての生活においても変わることのない信念です。

 この指針の原点は、1997年に遡ります。当時、私は日本青年会議所の「省資源循環型社会システム推進委員会」の委員として、ゼロエミッションの推進を担当しました。ゼロエミッションとは、廃棄物を一切出さず、すべてを資源として活用する産業構造を目指す考え方で、国際連合大学(東京)の研究者グンター・パウリ氏が提唱したものです。とりわけ私の考え方に大きな影響を与えたのは、グンター・パウリ氏から直接学び、彼の理念や行動に触れた経験です。

 ゼロエミッションの企業が廃棄物を資源として活用し、その生産工程で発生した廃棄物を別の企業が再資源化する。最終的には“廃棄物ゼロ”を目指すこの革新的な考えに、私は大きな衝撃を受けました。

 当時の私は、「リサイクル=ビジネス=利潤追求」という固定観念にとらわれていました。しかし、ゼロエミッションの考えに触れたことで、リサイクルとは単なる処理業ではなく、地球環境と共存するための手段であることに気付かされました。

 また、熊本県水俣市で開催されたゼロエミッションミーティングでは、水俣病の患者の方々や地域の皆様と交流する機会があり、公害の発生が人間の利益追求の結果として環境への配慮を欠いたものであったことを、深く実感しました。

 これらの経験を通じて、私は「地球環境に貢献すること」を自らの行動指針として明確に定め、それ以降、事業でも私生活でも常にこの物差しで判断を重ねています。

 リサイクル事業においても、まずは「リユース(再使用)」や「リファービッシュ(再生修理)」の可能性を検討し、どうしても再使用できないものについては、マテリアル・ケミカル・サーマルの順で適切に処理を行い、単純焼却や埋立を極限まで抑える方針を貫いています。さらに、各工程では省エネルギーおよび再生可能エネルギーの活用を進めています。

 たとえば、自動車リサイクルでは、回収・再使用部品の販売・解体・破砕・破砕残さの再資源化までをワンストップで行い、ゼロエミッションに極めて近い形を実現しています。

 個人としても、松山市において環境学習施設の設立を提案・実現したほか、2000年からはライフワークとして小学生から大学生、社会人まで幅広い世代に向けた環境教育活動を続けています。

 現在、ゼロエミッションは単なる企業活動の範囲を超え、社会全体の構造改革を意味する大きな概念となりました。3R(リデュース・リユース・リサイクル)、サステナビリティ、サーキュラーエコノミー(循環型経済)、LCC(ライフサイクルコスト)などとも深く関わり、カーボンニュートラル実現に向けた重要なキーワードとなっています。

 このたびの寄稿を通じて、「地球環境に貢献する」という行動を、読者の皆さまとそれぞれの立場で共有し、共に実践していけることを願っています。

 

   金城 正信

【プロフィール】

金城 正信(かねしろ まさのぶ)

1966年まれ
金城産業株式会社 代表取締役

金属、自動車、小型家電、太陽光パネルetcのリサイクル事業を行う創業98年の企業
・一般社団法人 小型家電リサイクル協会 会長
・愛媛県地球温暖化防止推進委員愛媛大学 理学部ステイクホルダー
・NPO法人 エコステーションまつやま 理事長
・株式会社サイクルドリームプラス 代表取締役 (ヴェロリアン松山-プロロードレースチーム)

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