「3R・気候変動検定に取り組む意義?そこから得られるもの」 村岡 良介 村岡環境カウンセラー事務所代表 今回のテーマは、3R・気候変動検定(以下、「検定」と略します。)の運営委員会においてもよく議論されています。検定の運営を議論するわけですから、ずばり事業としての持続可能性を獲得するためには、一定数の方に受検していただくことが必要です。事業の拡大を図るためには、受検者数を増やすことも必要です。収益性を向上させる必要は無くても、採算性は確保しなければなりません。そのために、検定自体の存在や内容を広く認知していただき、受検の内部的・外部的動機づけを誘発し、意欲を掻き立てるような方策を検討します。その一つの議論として、3R・低炭素社会検定に取り組むことより得られる特典、メリット論になるのです。
そのメリット論ですが、そもそも「検定」とは、「人または物を検査し、これが一定の基準に合致しているかどうかを確定または認定する行為」であり、「法律に定められた公的なものと私的な基準によるものとがある」(以上、「日本大百科全書」より。)そうで、この定義によれば、当検定は、明らかに私的な基準によるものです。法律に規定された公的な検定のように、何らかの行為が許認可されたり、資格付与に関わる検定ではありません。 私的な基準の検定の中にも、専門知識や特定の技能を有する者として社会的に広く認知され、資格の如く活用されているものもあります。現在、同じ分野、同じ趣旨の他の検定と連携し、フォローアップやブラッシュアップに活用していただくとか、資格取得に係る資格要件あるいは受講の一部免除などの活用についても主催者として努力しているところです。本検定が社会的に認知され、「リーダー」、「リーダーゴールド」の称号が資格のように扱われるようになることを目指すことは、主催者として当然に努力していかなかればなりません。
では、何がメリットか。その結論は、ご自身が現在置かれている環境や境遇による判断基準で決めるものだということではないでしょうか。本検定に合格すれば、「リーダー」、「リーダーゴールド」の称号を使用することができますが、あくまでも第三者機関としての主催者が、知識を有する者としての基準に合致したことを認定して称するものです。そのこと自体に第三者的に意味があるのかと問われても、第三者から報いを用意して受検するように指示命令や要請を受けた場合でない限り、ご自身がどのような意図で、何を目的に受検の判断をしたのかが大事です。 そうでなければ、関心があっても受検の申し込みには至りません。そして、検定の公式テキストに取り組んだことこそが重要になります。検定の合否は結果です。合格するために習得した知識こそが最も大事なものなのではないでしょうか。そのテーマや分野に関心を持ち、ご自身の判断で、意思で取り組まれたのであればなおさらです。そして、知を獲得し、連結することに取組まれたのです。
今、世界は、気候変動、生物多様性の損失、汚染という三つの危機に直面していると言われています。気候変動については、我が国は先導的に世界全体のネットゼロや適応策の加速化に貢献するため、脱炭素先行地域の創出や、新たな国民運動「デコ活」を通じ、脱炭素化を図ることでウェルビーイングを実感できる「暮らし」の実現が推進されています。 昨年8月に閣議決定された「第五次循環型社会形成推進基本計画」には、循環経済への移行は、気候変動、生物多様性の保全、環境汚染の防止等の環境面の課題と合わせて、地方創生や質の高い暮らしの実現、産業競争力の強化や経済安全保障といった社会課題の同時解決にもつながるものであり、国家戦略として取り組むべき重要な政策課題に位置付けられました。このような政府の方針と政策の展開の中で、国、地方公共団体、事業者、NPO/NGO、学術研究機関、そして国民一人ひとりが、それぞれが持つ知識やアイデアを共有し、相互に連携していくことが今まで以上に求められます。皆さんが行動を起こし、あるいはこれまでの活動を展開する機会が身近なところで増えることでしょう。 そのような機会に、本検定を受けられた、また、受けようとしている皆さんが、検定に取り組むことで知を獲得し、連結し、ご自身の生活や地域や職場、社会にける様々な実践の機会に繋げ、活用していただくことを願って止みません。
最後に、毎月、検定合格者等に配信しているメールマガジン 「R」でつながる は、皆様の実践の参考あるいは機会となる全国の関連情報を掲載していますので、是非、ご活用ください。また、皆様からの活動のPRやイベント情報、報告やご意見を発信される媒体として、合格者相互に繋がる媒体としてもご活用ください。皆様のますますのご活躍を祈念しております。 |
村岡 良介 |
【プロフィール】
村岡 良介(むらおか りょうすけ)
1956年神奈川県川崎市生まれ、横浜市在住
現在、村岡環境カウンセラー事務所 代表
一般財団法人 日本環境衛生センター に技術審議役として勤務
・環境カウンセラー(事業者部門・市民部門)
・3R・気候変動検定運営委員、「R」でつながる編集長
日本環境衛生センターには、45年勤務し、廃棄物処理に関する調査研究、企画・広報・編集・出版・人材育成業務等に従事し、フェニックス計画、ダイオキシン類対策、災害廃棄物・放射性汚染物質対策、都市鉱山メダル、新型コロナウイルス対策、プラスチック・スマートなど多数の国の環境政策プロジェクトに参画
地方自治体の産業廃棄物処理技術相談員、3R推進・プラスチック資源循環アドバイザー、産業廃棄物
再生技術アドバイザーなどを受任し、依頼講演・執筆活動に注力
編著書に、『廃棄物処理法の解説』、『生活と環境』誌、『ごみなんでも事典』、『ごみ収集の理論と実践』、『3R・気候変動検定公式テキスト』等、環境専門紙誌・学会誌への寄稿多数