Vol.147「コロナパンデミックと環境問題」 高木 亨


「コロナパンデミックと環境問題」

高木 亨

 

 

 コロナ禍の生活も2年目になります。昨年は、マスク不足に始まって混乱しましたが、噂では、夏場の高温期になるとコロナ騒ぎも収まって、ビアガーデンで大ジョッキと思っていました。現実は、未だに政治家のアリバイのためのような「緊急事態宣言」の連発。
 いろんな面で日本の後進性が露呈しました。話題となった大阪の医療崩壊も、行財政改革の名の下に、公的病院や看護学校を廃止もしくは縮小してきた過去の政策の結果です。現役時代当時の政策決定の末端にいた自分に嫌悪感を覚えます。
 その中で始まったオリンピック。すべての事象で、利権の構図がギラギラ。腹立ちと感動。複雑な気持ちで日々巣ごもり生活。
 今年6月末で第二の職場を退職し、年金生活に入りました。生まれて初めて占いに行きました。生来の疑い深い性格のため、3軒はしご。そのいずれもで「これまでも、これからも順風満帆」のようなことを言われ、単純にも信じ込んでいました。占いの世界も忖度です。まあそんなもんですね。
 このコロナ禍で環境にどんな影響がでているのでしょうか。世界中で行動規制が行われており、CO2排出量や大気・水質の汚染が緩和されたというデータがある一方、マスクや防護服の大量廃棄やテイクアウトの多用でプラスティック廃棄物の増加やそれが海洋へ流出しているという問題も指摘されています。

 一方、消費活動の縮小等による経済活動の停滞が、国境に関係なくもっとも弱い立場にある人々へ最も大きな打撃を与え続けている事実です。
 最低限の生存を維持することが困難な、指標として1日の収入1ドル90セント米ドル以下の「絶対的貧困」人口は、世界人口の10%、7億人と推計されているが、世界銀行の予想では、世界中で4,000から6,000万人が極度の貧困に陥る可能性を指摘している。また世界食糧計画(WHP)によると、直接的な措置が取られない限り6,500万人が危機的なレベルの飢饉になると危惧している。貧困・格差の拡大が最大の環境悪化である紛争や戦争に繋がる可能性が高くなります。

 私が、本年6月までお世話になっていました一般財団法人環境事業協会では、平成25年からそれまでの大阪市の外郭団体から、大阪市からの人的・物的支援を一切受けない1民間中小企業として、極端な生き残りの経営を行っていますが、CSVとして、SDGsのテーマである「貧困」「格差」「資源循環」等に取り組むこととしました。
 特にわが国では相対的貧困(世帯所得が全世帯の中央値の半分以下)家庭が増え、7人に1人と言われる子供の貧困が問題となっています。
コロナウィルス・パンデミックで、わが国では100万人以上の雇用が失われている。特に女性の雇用が大きく影響を受けており、結果として子供の貧困が拡大している。協会ではこれまでも食品ロス解消への貢献を目的に「子ども食堂」や「農福連携」といった課題にも取り組んでいます。
 コロナウィルス・パンデミックで露呈した我が国の脆弱性、「人の命か経済活動」といった比較論。「経済発展と環境のトレードオフ」といった議論も同様です。新たな価値を生まないテーマは切り捨てるといった流れに終止符を打つ時期に来ているように思います。

高木 亨

【プロフィール】
高木 亨

2013年大阪市役所退職。その大半を環境行政(特に廃棄物処理対策)に従事。
2004年から行財政改革に関与(大いに反省)。
大阪市退職後一般財団法人環境事業協会で勤務。2015年から理事長。
2021年退任。年金・巣ごもり生活に。
※一般財団法人環境事業協会は検定事務局

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