Vol.134「レジ袋有料化のその先へ」 三枝 信子


「レジ袋有料化のその先へ」

三枝 信子

 

 レジ袋の有料化が始まりました。オリジナルのマイバッグが次々に販売されたり、TVのワイドショーなどでも盛んに取り上げられたりしています。
 その効果や評価は先のこととなりますが、これまで関心のなかった方たちにも「レジ袋とは何か?」を考えるきっかけにはなっているようです。

 ただ、一番大事なのは、この「レジ袋有料化」が何を目的としているか、ということでしょう。

 世界各地から海洋プラスチックごみの問題が警告され始めてから、マイクロプラスチックという言葉も多くの方の認知するところになり、使い捨てのプラスチックがいかに多いか、それらが街から海へ流れ出ているかということがわかってくるにつれ、ヨーロッパを中心に「不必要な使い捨てプラスチック用品を削減すること」が求められるようになってきました。
 今回の日本の政策も同じ流れの中で進められているものなので、目的は同様であり、そういう意味では、まだ端緒についたばかりとも言えます。

 レジ袋削減を進めつつ、その先についても考えていかなければなりません。

 たとえば、まだ日本では手つかずですが、増え続けるペットボトルなどの飲料容器の対策も急務でしょう。
 これから暑い夏を迎えるにあたり、一部の意識の高い人たちだけがマイボトルを持ち歩くのではなく、全体としてペットボトルを削減できるように、マイボトルの飲み物が切れた時に給水できるポイントを増やしていくなどのインフラ整備も含めて考えていくことが大事だろうと思います。

 また、昔は各所にあった傘立てが撤去されてしまい、建物に入るたびに使い捨てのプラスチック傘袋の使用が必要なため、雨の日のたびに大量の廃棄プラスチックが発生してしまいます。
 以前から当団体では使い捨てプラスチック傘袋を減らすために「マイ傘袋を作ろう」という講座を開催していますが、こういった視点も大事ではないでしょうか。

 ぜひ、レジ袋有料化のその先へ、みなさまと一緒に考えていければ嬉しいです。

マイ傘袋

三枝 信子

三枝 信子

【プロフィール】
三枝 信子(さいぐさ のぶこ)

NPO法人 川崎フューチャー・ネットワーク代表。

「市民の力で川崎を“環境都市”に!」をスローガンに、川崎市を基点に、日本全国の環境団体とネットワークをしながら活動中。
活動テーマは、気候変動、生態系保全、循環型、公害、交通、まちづくりなどSDGs全般にわたり、それらを繋げて考えるビジョンづくりを行っています。

環境ファシリテーター。環境カウンセラー(市民部門)。

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