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「廃材か宝の木か──。「古木」として再利用することで世の中が変わる。」
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2020年には1000万戸の空き家時代が到来すると言われている。 そのうち約2.5%に当たる25万戸が、「古民家」と推計されており、2033年には50万戸に達すると予想されている。 地方に点在する古民家は、空き家となって過疎化の象徴となっていくばかりか、最悪の場合老朽化による倒壊という危険もあり、一般的な空き家とは、また異なる社会問題の要素が指摘されている。
そんな古民家を山翠舎では、「再生を待つ木立が眠る、もう一つの山」に見立てている。 ここに眠る木立は、ただ取り壊しただけでは廃材となるが、柱や梁の1本1本の属性・特性しっかり記録・管理することで、「ストーリー性のある素材(語れる素材)」として新たな価値を付加し、再生することができる。 こうした古材を当社では『古木(こぼく)』と定義している。 ※「古木/こぼく/koboku」は山翠舎の登録商標。
古民家には、現在では珍しい樹齢100年以上のマツやケヤキの大木が使われていることも珍しくなく、仕口や継ぎ手、釿(ちょうな)、鉞(まさかり)などで掻き込んだ跡は、失われつつある日本の伝統技術が凝縮した姿と言っても過言ではない。
こうした手仕事のぬくもりある素材を商業施設や宿泊施設等のインテリアをはじめとしたデザインとして再利用・施工することで、インバウンドの観光資源となるなばかりか、事業者にとっては注目を集め大きな収益を獲得できる新たなビジネスチャンスとなる。 昨今の「古民家カフェ人気」などがそれを雄弁に物語っている。
社会問題であるはずの「空き家の古民家」は、視点を変えると貴重な集客装置となり、さらに廃材を減らし木材を再利用することは地球環境へ寄与することにもつながる。 社会問題は、倫理や問題意識を唱えているだけでは解決しない。 やはり利益を生み出す仕組みと一体にすることで、その社会問題の解決は促進される。
海外では、地球環境を守りつつ、利益を生み出すビジネスモデル「サーキュラー・エコノミー」への移行が進んでいる。 製品を「使って捨てる」これまでの直線型経済から、「使って再び使う」循環型経済への移行。 さらに国際的な潮流で、昨今日本でも話題になってきている「SDGs」の考え方とも古民家・古木の再利用はマッチする。
100年スパンで世の中を考えていくことが、サスティナブル社会の実現につながっていく。個人、もしくは企業ができる限り長く大切に使っていくことを意識していこう。
長野県大町市にある山翠舎の古木倉庫兼木工場の様子
3R・気候変動検定