Vol.181「みんなで持続可能に」浅利 美鈴

 

 

「みんなで持続可能に」

浅利 美鈴

総合地球環境学研究所(ちきゅうけん)・教授



 3R検定として始まって、本検定は17回目を迎えようとしています。

 本年11月に実施される次回の検定に向けては、3R・低炭素社会検定から、3R・気候変動検定へと名称変更を行いました。この名称変更にも、実は数年を要しました。多くの候補の中から、関係者の合議で決定したのですが、私にとって一番の決定打は、「みんなで持続可能に」という想いだったと思います。

 冒頭で申し上げた通り、3R検定として始まった本検定に、低炭素社会部門が加わったのは2年目、つまり約15年前のこと。実のところ、当時はまだ広く理解されるキーワードではありませんでした。それが今や「脱炭素社会」として認知される世界の共通目標になってきました。名称変更にあたっては当然、「脱炭素社会」というのも、有力候補でした。また、3Rが資源循環分野の「アクション」を示すことから、同じようにアクションを象徴するキーワードがないかという議論もありました。しかしながら、事象を表す「気候変動」に行きついたのは、「誰もが知っている」「いつまでも使い続けられそう」といった理由が大きかったと思います。

 例えば脱炭素は、先の通り、世界の共通目標であるものの、政策よりで、まだまだ一般の方が口にするには難しいのではないかと思います。また、デカーボナイゼーションや炭素中立/カーボン・ニュートラルなど、まだ、様々な単語で語られる状況にあります。それに比べると「気候変動」は、随分浸透が進んでいるかと思います。温暖化防止や気候変動対策といったアクションを示す候補も出ましたが、できるだけ短く・・・ということもあり、最終的に落ち着いたのが「気候変動」でした。要するに、多くの方にわかりやすく、また長く使って頂けるようにとの想いがこもった名称変更でした。

 もちろん、名称の議論だけでなく、多くの方の力を得て、テキストも大幅に改定しました。合格して久しい方もおられるかと思いますが、この機会に図書館等で、公式テキストも手にして頂けると嬉しいです。

 今後も、みんなで持続可能な社会の構築に向けた対話を続けるためのツールの一つとして、是非、本検定をよろしくお願いいたします。

       

浅利 美鈴

【プロフィール】

浅利 美鈴

2000年、京都大学工学部地球工学科卒業。
2004年、工学博士。京都大学地球環境学堂・准教授を経て、
現在、総合地球環境学研究所・教授。

研究テーマは「ごみ」や「環境・SDGs教育」。
世界中の「ごみ」や暮らしぶりを観察して歩く日々を送る。  
社会の縮図として、京都大学のサステイナブルキャンパス化にも取り組む。

学生時代に「京大ゴミ部」を立ち上げ、環境啓発・教育活動に取り組み始め、2005年からは、京都議定書達成に向けた「びっくり!エコ100選」、エネルギー問題にアクションを起こす「びっくりエコ発電所」、京都におけるSDGs実装を目指す「エコ~るど京大」や「京都超SDGsコンソーシアム」「京都里山SDGsラボ(ことす)」等を展開。

2024年11月に第17回を開催する「3R・気候変動検定」の代表も務める。

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