3Rに取り組む企業に望まれること

=特集=

3Rに取り組む企業に望まれること

高島屋本社 CSR推進室 室長 中村 操

  最近業績の悪化から、皮肉にもマスコミに取り上げられる機会が以前より増えた感のある百貨店だが、いわゆる坪効率という単位面積当たりの売上高では今、破竹の勢いのあるユニクロの効率を上回る店舗も都心では数多くある。いうならばそれだけたくさんのお客様がこられているということになる。私が勤める高島屋でも年間約2億人のお客様がご来店されている。また従業員に目を転じてみるといわゆる応援店員とよばれる方達を含めると約5万人の方達が働いている。これらを考えても百貨店はいわゆる「公器」であるといえよう。

  3Rだけではないが、環境問題に取り組むときに忘れてならないのがこの視点だ。お客様に対しては、簡易包装へのご協力やら、ゴミの分別などお願いしておきながら、一方で従業員が自宅に帰ると電気はつけっぱし、ゴミの分別はいいかげん、というわけにはいかない。

  当社では2008年に環境方針を一新し、その中に「全ての従業員は社内ではもちろん、日常生活においても、環境負荷の軽減に役立つ新たなライフスタイルの推進に主体的に取り組み、当社グループもこれを応援します」という項目を設けた。まだ全員に浸透しているというわけではないが、今年になってある店舗から、今年の3R月間にむけて、従業員には手提げ袋を渡さないという運動を始めた店がでてきた。代わりに各自、家から、不要な手提げ袋を持参して職員で入り口に置き、自由に使ってもらうというわけだ。

  思わぬ副産物として、取引先からも「旧デザインの手提げ袋」があるので使ってくださいなどの申し出もあったらしい。これを受け全店で従業員の包装辞退のアイデアをつのり、競ってやってもらうことにした。各店からどんなアイデアがでてくるか今から楽しみである。

企業によってお客様との関わりは異なるとは思うが、忘れて欲しくないのが従業員の意識啓発の視点である。

ページの先頭へかえる