< 連載 > ≪協働 共創 共鳴の明日を創る≫ No.10 ハイテクオーブン電子レンジと野外バーベキューの関係

協働 共創 共鳴の明日を創る

「ハイテクオーブン電子レンジと野外バーベキューの関係」

消費産業社会の中で私たちが失ったものがある。
「自力」である。その対極にあるものが「自動」であった。

高度技術社会の中で生まれた自動制御システムは私たちの社会の中に渦巻くように存在している。
しかし、自動化の行き着く先で知らぬ間に人間本来の「自力」という能力を衰退させてしまっている。あるいは感性を失っているというのも事実。
阪神淡路大震災ではシステムの上に乗っかっている都市の危うさを現実のものにした。

環境対策も同じである。すべてを環境技術で解決できるものではないことは自明の理である。半デジタル半アナログの絶妙のバランスを復興させる必要があるのではないか。
生身の「手」の先に技術がある。技術が遠く及ばないところに離れていくのではなく、どこまでも「手」に近づいてくる。それが技術の本質である。

さて、「焼き上がりはシェフのよう!」を謳うオーブン電子レンジはその後売れているのだろうか?
機械は私たちの食卓をも席捲している。
おふくろの味とシェフの食卓はこれからどのように共存していくのだろうか。

もう少し寒さをしのげば、やがて河原での野外バーベキューの季節がやってくる。
真っ黒に焦げた焼肉も家族友人みんなで食べれば美味しいもの。
出来損ないのカレーライスも絶品の手料理に変身する。
人間はどこまでも他愛無いことではしゃぐのが好きなようである。

それは結構、質の高い遊びなのかもしれない。

―バーベキューの宴のあとはごみを持って帰るように。老婆心ながら─

みんなのヴィジョン創造研究所
ニュースレター編集長 大橋 正明

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