3Rとコーポレートコミュニケーション

=特集=

「3Rとコーポレートコミュニケーション」

株式会社 堀場製作所 コーポレートコミュニケーション室長 前野 晃男
(2010年2月26日)

 「3R(スリーアール)とコーポレートコミュニケーション」というお題をいただいた。
両者を「輪」という視点で考えてみたい。3Rにおいては、まず、物を作る量を抑制(リデュース)することに努め、作ったものを大切にし、その人には不要となった時にお下がりとして弟妹やご近所や友人が再利用(リユース)する。物としての利用ができなくなった場合には、物質として再資源化(リサイクル)する。そこでは物として、または資源として利用しようとする人や施設、物流のつながりの「輪」が生まれる。一般的にリユースよりもリサイクルの方が関係する人々や物流距離、消費しなければならないエネルギーは大きくなり、地球環境への負荷も大きくなる。3Rにおいてはこの「輪」を小さくしていくことが肝要なようだ。

 一方、コーポレートコミュニケーションにおいては、企業が発信する情報の広がりや関係者の「輪」はできるだけ大きくしたい。そのためメディアも利用し、迅速且つ広く効率良く情報を発信することが重視される。ただ、コーポレートコミュニケーションは宣伝とは異なり、社会との「絆」づくりを目指すことが本質であることを考えると、むしろコミュニケーションの「輪」を小さくしていくことに注目すべきではないかと考えている。

 優れた地域型リユースの仕組みであるフリーマーケットでは、その物を使っていた人の顔はもちろん、人柄やその物への思い入れも知り、値段交渉などで言葉を交わす時間も楽しみながら購入する。物を手から手へと渡す距離感と対話の時間に独特の温かさを感じる。また、同じ物を良いと感じた二人の間には、価値観を理解し合うような、ある種の「絆」が生まれているように感じる。

 コーポレートコミュニケーションとしては、小さな「輪」を支店や営業所がある複数の地域でつくるなど、広がりを意識する必要はあるにしても、小さな「輪」で、時間と距離感を大事にしながら、価値観を理解しあう、「3カン」による絆づくりとでも呼ぼうか、そんなコーポレートコミュニケーションを行いたい。


ページの先頭へかえる