< 連載 > ≪協働 共創 共鳴の明日を創る≫ No.6 クオリティ オブ ライフ~新しい生きがい生活設計~

協働 共創 共鳴の明日を創る

クオリティ オブ ライフ~新しい生きがい生活設計~

戦後まもなく始まった消費産業社会が終わりを遂げようとしています。私たちのタンスの中はもう十分に消費財でいっぱいなのです。それでも企業はしたたかに新しい作戦で私たちに呼びかけます。グリーンでお化粧したセールスキャンペーンがあらたな消費を掻き立てようとします。

「あなたのタンスに眠っている洋服や靴を持ってきてください。1,000円のクーポン券を差し上げます。」消費者はこのときとばかりお店にいらなくなったモノを持って出かけ、クーポンをもらって新しい商品を物色します。 モノを捨てる罪悪感をお店側が解消してくれます。

「大丈夫、あなたが持ち込んだ洋服や靴は立派に新しい資源としてリサイクルされ、活用されるのですよ。」あるいは「開発途上国の人々に贈られます。」と。

高度消費産業社会とは、私たちを消費者と決めつけた社会です。そこでは企業と消費者の関係は、商品が受け渡された段階で終了します。そのあと、私たちは商品を使って生活しているのでしょうか?

違います。私たちが使っているのは「生活道具」なのです。商品は私たちの暮らしに入った段階で生活のための道具として生まれ変わり、暮らしを補助し、また楽しませてくれるのです。そこから道具と暮らしの新しい生活が始まるのです。従ってそれらは「必需品」と呼ばれるべきものなのです。必需品は暮らしの過程で愛着を伴って私たちと共に暮らしを育んでくれるものです。愛着のあるものを捨てるのはなかなか勇気がいるのはおわかりいただけると思います。

さて、もう一度「必需品」とは何か。そこを考えてみませんか。必需品がタンスの中で眠り続けているというのは少々おかしな話なのです。活躍してこそ道具なのです。ここの関係を企業と生活者が互いに理解しあわなければならないのです。

話は変わりますが、日本は多くの人々が「過密消費都市」に暮らしています。消費という機能を促進させるためにつくられた都市です。華やかな消費への誘惑が渦巻いています。私たちに消費生活を続けてくれるよう呼びかけます。ところが長く、このような過密都市に暮らしていると、ある臨界を越えて後遺症が現れます。

身体の虚弱化と心的ストレスの増大がそれです。それと同時に生活内容の空洞化をもたらします。今こそ、私たちは暮らしを見つめなおし、クオリティ オブ ライフを考え直す絶好の機会に遭遇しているのです。生きがい 働き甲斐がいっぱい詰まった私たちの生活―クオリティ オブ ライフを再構築しようという努力の中にこそ、無駄を出さない(reduce)大切に使いこなす(reuse)いいものは順送り(recycle)の知恵と工夫が秘められているのだと思います。

私たち生活者が新しい視点を持つとき、企業も私たちを生活者として位置づけ、新しいそして理にかなった商品作りや伝え方に今までと違った努力を進めてくれるでしょう。
そこから協働 共創の関係が誕生するのです。

3R検定実行委員 大橋 正明

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