『昔ながらの道具たち-すり鉢とすりこぎ-』
山口 茂子 皆様、こんにちは。東京在住の山口茂子です。 今回の昔ながらの道具は、すり鉢とすりこぎです。 こどもの頃、すり鉢とすりこぎは、どこの家庭でもかならずそろえていた台所の必需品ではなかったでしょうか。こどもの頃、しばしば食卓に登場したすったごまやとろろ、魚のつみれ、白和えなど。これらは、大きなすり鉢で、ごりごりと音を立てながら調理されていた記憶があります。最近では、スーパーに行けば、すりごまが売られているし、とろろさえもおろした状態で冷凍パックになっていたりします。魚のつみれが作りたければ、すり鉢よりもフードプロセッサが力要らずで楽ちんです。 むしろ、すり鉢はなくとも、フードプロセッサがある家庭の方が多いかもしれません。すり鉢は、なくてはならない調理道具ではなくなってしまったのかもしれません。 でも、すり鉢とすりこぎにも、素晴らしい点がたくさんあります。 まずは、自分で手作業でごりごりとすることで、たとえばごまであれば、すりたての香ばしさをたっぷり味わえます。コーヒー好きの方は、挽きたてのコーヒーが本当に香ばしくて良い香りいだということはご存じだと思います。 それと同じように、すったばかりのごまの香りは本当に香ばしいものです。すり鉢は大小さまざまなサイズがあるので、一人分から数人の家族分まで小分けにしてすることもできます。 すり鉢でする代表格は、和食にかかせないごまですが、たとえばホールのままのペッパーやカルダモンなどのスパイス類もすり鉢でごりごりとすることができます。もちろん、買ってきたものよりも何倍もよい香りがします。すり鉢とすりこぎをお持ちの方はぜひお試しください。ミルで挽いたのよりずっと良い香りがするはずです。自分の手でするので、粗くすったり細かくすったりと手加減も自由自在です。
実は、我が家には手のひらサイズのすり鉢がいくつか、下の写真(写真2)のようなすりこぎもいくつかそろっています。左の3つが山椒のすりこぎ。一番右が日本製ではないのですが、柘植(つげ)のすりこぎ風です。 すりこぎとして山椒が好まれるのには理由があります。 とても堅牢で長く使えることと、山椒の良い香りがすること、そして山椒には解毒作用があると言われていることです。わっぱのお弁当箱が、見かけの美しさだけでなく、木が本来持っている殺菌作用を生かしているのと同じ、ここにも自然の持つ力を生かした道具がありました。
地味ですが、本当にもう一度見直すと、台所で大活躍してくれること、間違いなしだと思います。もし、棚の奥深くにしまっている方があったら、取り出して、そしておいしい和食やスパイスの効いたドレッシングなどを手作りしてみてくださいね。お奨めです! 今回も拙い文章を最後までお読みいただいて有難うございました。 |