昔ながらの暮らしの知恵―発酵


昔ながらの暮らしの知恵―発酵』


山口 茂子  

 皆様、こんにちは。
 東京在住の山口茂子です。

 この原稿を書いている今は8月の終わりころ。猛暑と言いつつも少しずつ夏が終わって秋が訪れようとしているのだなと感じ始めています。
皆様、夏の疲れはとれましたでしょうか?

 ここ数か月、今でも十分役に立つ、むしろ今の道具より昔ながらの知恵にあふれていて日常の暮らしで大活躍してくれそうな道具を探して紹介してきました。今回は道具ではないのですが、昔ながらの生活の知恵ということで「発酵食品」を取り上げてみたいと思います。発酵食品は、健康に良いということで最近、見直しをされています。醤油、味噌、納豆、糠漬け、日本酒などの日本の伝統的な食生活にはなくてはならないものや、海外から輸入されたものでも、すっかり日本の食卓に定着したヨーグルトやチーズ、そしてワインなど。
どれも発酵をさせることによって、風味を出したり、保存性が高まったり、栄養価が高まるという効果があります。かつて食料が今のように常に十分に確保できず、冷蔵庫などもなかった時代だからこそ生まれた知恵なのでしょうか。

 現代では、冷蔵庫もあり、十分な食料があふれ、栄養が足りなければサプリメントもあります。とくに発酵の仕組みや方法を知らなくてもすぐに困ることもありません。
また、すぐに節電や二酸化炭素の排出が減るというふうにエコに結びつくものでもありません。発酵食品づくりは、電気やガスが十分でなかったころの食生活の知恵です。どれもスーパーに行けば安価に入手可能です。バリエーションも豊富でどれを買ってよいかも悩んでしまいます。

 スーパーで好みの味や新製品を物色して買ってくるのも楽しいですが、味噌も、ヨーグルトも、醤油や納豆、糠漬けも家庭の味として手作りをしていこうと思ったらそれほど困難ではありません。実際にそのようにしている家庭もわずかながら残っています。また、最近の健康ブームや安心な食材を求める風潮から、見よう見まねで手作りを始める家庭もあります。
核家族化や共働きが当たり前の今の時代では、大半の家庭では、味噌を作り、醤油を仕込みというのは、難しいことだとは思いますが、食品を発酵させて、口にする知恵というのは知っていたいと私は感じています。

 それは、土地ごとの食文化を守り伝えていくことにもつながるからです。発酵というのは、その土地、その場所にある微生物の持つ酵素の働きによって分解や合成が行われるということですが、同じ原料でたとえばお酒や味噌を作ってもどこの土地で作るかで違う味になるそうです。自分が生活する土地のものを中心に食べる、土地の産物や味を口にし、またそれを受け継いでいくというのが本来の姿です。地球の裏側の珍しい食品もすぐに入手できるし、それが当たり前という便利な時代で、空輸したものは一切食べるなとまでは到底言えませんが、遠くから運ばれてくるものはぜいたく品であり、多くの負荷や手間をかけて食卓にくるもの、日常では土地のものを口にしようという意識で生活をしたいというのが私の思いです。
残念ながら、発酵のための微生物そのものが、土地のものでなく工場からやってくるものになってしまった今では、日本のどこで作られた味噌でも日本酒でも同じような味になってしまったと聞きました。しかし、家庭では、身の回りの目に見えない小さい働き者が活躍してできあがった家庭ごとの味が生まれるはずです。自分が生活する空間にいる菌でできた食品は、なぜかとても美味しいとも聞きました。

 世界中の食べ物が手に入る今だからこそ、その地域が持つ文化を守り継承していきたいと切実に私自身が感じています。残念ながら転勤族で育った私には、「故郷」のようなものがないため、日本の関東地方という大きいくくりになってしまいますが、日本の食生活はやはり自分のからだにとてもあっているとも感じています。

 ある会合で耳にした、電気に頼っているとすごく不安だという一言が耳に残っているのですが、今は電気に頼らざるを得ない生活で、今日からろうそくで食事をしましょう、パソコンもやめて原稿は手書きですというわけにもいきません。ただ、節電の意識と、今電気がなくなったときに何ができるかの知恵を持つことが、今私たちにできることだと感じています。
知恵とは、今日、明日でにわかに仕込まれるものでなく、過去から受け継がれてきたもののなかに、いくらでも託されているものだと思います。

もしも冷蔵庫が今日から使えなくなったなら・・・・。
肉や魚は味噌漬けや塩麹漬けにしよう、野菜は糠漬けにしよう・・・。
つまり、ちょっとくらいのことがあっても、絶望しないでいられる、知恵のある自分でいたいというのでしょうか。

これから、皆様と一緒に、より多くの生きる知恵を、蓄積していけたらいいなと願っています。

今回も拙い文章を最後までお読みいただいて有難うございました。

おまけ・・・
 
発酵ジュース(1)
発酵ジュース(2)


お奨め発酵食品-酵素ジュース!
好みの果物をタッパーに入れ、同量の砂糖を投入。
毎日朝と晩に50回づつ、素手でかき混ぜて7日くらいで完成です。
白い泡は、よく発酵している証拠です。シュワシュワになります。
素手で混ぜるというのは、手についた見えない微生物を空気と一緒に混ぜ込むためです。
出来上がったら果物を漉して、液体部分を水で薄めて毎朝どうぞ!
腸にとても良い感じです。





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