協働 共創 共鳴の明日を創る No.11

協働 共創 共鳴の明日を創る

狼と羊

走りの哲学が壊れ始めている。文明を凌駕した産業が振り返りのときを迎えている。
大手自動車メーカーは顧客の声に耳を傾けて来なかったと反省した。
顧客の声を聞かないものづくりなど遠い昔から存在しない。ここにこれからもこの企業が迷走する禍根を残している。顧客の声を聞かないものづくりなど、どうしてできるのだろう。それは奇跡に近い。悲しいのはこの大手企業のありようが今の社会、すなわち今の日本人の生き方とだぶって見えるのが悲しい。

狼のように疾風を巻き起こしながら走る時代は終わった。そういう生き物の終わりであるということである。
走り、いや移動とは何か、くるまとは何か、いまそこが問われている。しかしエコカーの開発のもとに電気自動車は時速200キロを目指している。羊にそんなに早く走れというのも無理であろう。その生き物の最大の良さを引き出してやるのが人間の叡智ではないのか。エコとはそういうことではないのか。
もっと顧客と共創する新発想を業界は生み出すことができないのか。

最後に一言。今や生活者のほうが上なのである。彼らは先に行って、さあ、どんな興奮を見せてくれるのと高見の見物をしている。
企業は自分たちが価値を創るのだという迷信に今も囚われている。
いつか、ここを抜け出す企業が現れるのを期待する。
しかし、どうもその期待はもう少し先になりそうである。


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