ごみを減らしても二酸化炭素排出量はあまり減らない?

【練習問題】 あなたならなんて答える

ごみを減らしても二酸化炭素排出量はあまり減らない?

 3R検定では、テキストの知識に基づき、1つの答えを選ぶ形式でしたが、実際には、十分に情報が得られない/長所・短所の両面がある/条件によって異なる・・・など、簡単に白黒つけられない命題が多々あります。

このコーナーでは、そんな3Rに関連する最近の話題を取り上げみなさんと一緒に考えてみます。


 今、なんといっても「環境問題」といえば世間一般では「地球温暖化」です。どのアンケート結果をみても、関心のある環境問題の第1位は「地球温暖化」で、通常第2位に「ごみ問題」や「リサイクル」といった言葉が出てきます。

そこで、「ごみを減らせばどのくらい二酸化炭素の排出量が減るのだろう」と全国地球温暖化防止活動推進センターのページを見てみると、次のような図が出てきます。
http://www.jccca.org/content/view/1048/788/
家庭からの二酸化炭素排出量

なんと、家庭からの二酸化炭素排出量のうち、ごみ関連はたったの3.5%だというのです。ごみを完全になくしても3.5%しか二酸化炭素排出量は減らない?だとしたら、なんだかやる気が失せてしまいます。

日本全国で一般廃棄物だけで1年間に約4000万トンのごみが燃やされているのになぜなのでしょう。きっと、「家庭から」という限定がついているからで、産業廃棄物も含めた全体ならもっと多いはずと調べてみると、さにあらず。
http://www.jccca.org/content/view/1046/786/ 日本全体の部門別でみると、廃棄物部門は2.4%とわずかです。
日本の部門別二酸化炭素排出量の割合

 そもそも、温室効果ガスの排出量は実際に計った数量ではありません。統計などから推測した値です。また、国際的な条約の為に、国単位での総量をもれなく把握し国際比較をするための数値です。それぞれの国が別々の方法で推計していては比較できないので、ガイドラインを作り二重計上のないように集計をしています。

このような目的のために集計されたデータなので、例えば、二酸化炭素の排出量については、焼却された廃棄物のうち化石燃料に由来するプラスチック類と合成繊維しか排出量に計上されません。紙類や生ごみや木くずも燃やせば当然二酸化炭素を出しますが、これらはカーボン・ニュートラルといって集計の対象から除外しています。(紙や生ごみや木くずの炭素は植物由来なので、焼却しても直近に大気中から固定した炭素を大気中に再放出していることになります。だからプラス・マイナス・ゼロだという考えかたです)。なんとなく、廃棄物関連が少ないような感じはこんなところからきているのでしょう。

それでは、3Rの推進は温室効果ガスの排出量にどのような影響を及ぼすかを考えてみます。まず、Reduceすることによってごみになるものを作らずに済み、もちろん処理処分もせずにすむわけですから、生産や輸送や処理処分のための温室効果ガス排出量が削減できます。Reuseによっても、生産や処理処分のための温室効果ガスが削減できるでしょう。

Recycleについては、それぞれの地域や素材によって異なる可能性もあるので、LCA(ライフ・サイクル・アセスメント)によって計算してみる必要がありますが、削減できる場合も多いでしょう。地球温暖化対策からみても、3Rの優先順位の考え方は有用です。

 地球温暖化の原因となっている温室効果ガスは、直接目には見えません。だからこそ、人々の関心は「ごみやリサイクル」に集まります。国際経年比較を目的としたインベントリーには表われないとしても、Reduce、Reuseの推進によって、ごみ減量は温暖化対策にもつながります。


参考サイト
全国地球温暖化防止活動推進センター http://www.jccca.org/index.php
温室効果ガスインベントリオフィス http://www-gio.nies.go.jp/index-j.html

(国立環境研究所内にある日本の温室効果ガスに関する調査研究や対外交渉のとりまとめ機関)
「日本国温室効果ガスインベントリ報告書(NIR)」
http://www-gio.nies.go.jp/aboutghg/nir/2009/NIR_JPN_2009_v3.0J.pdf


【文責:大阪産業大学 花嶋 温子


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