≪瀬戸内の海辺 ~ごみ・3R~ ≫〈後編〉

≪瀬戸内の海辺 ~ごみ・3R~ ≫〈後編〉


河﨑 素子

前号で紹介した海岸の散乱ごみは平均的な風景です。

地元の漁協はすでに年1回海岸や漁港の清掃を行っていて、清掃直後にはスッキリするのですが2週間もすれば元に戻ってしまいます。
17年前に庵治町内のボランティア団体が連絡会をつくり、まとまって何かをやろうという話になりました。この機を得たりと私は庵治半島の海岸のごみ拾いを提案。「アースデーinあじ 水ぎわクリーン作戦」として15団体で実行委員会を立ち上げました。

第1回のクリーン作戦では200人ほどで町内5ヶ所の海岸の清掃。集めたごみは自分たちの軽トラックで町の処分場に運びました。
それ以来、年1回の清掃活動を続け、5年目の記念にはハイムーンカレンダー原画展を開きました。奉仕精神で団体リーダーたちがまとまり、今に続いています。
また、どうせやるなら清掃範囲を庵治町の全ての海岸に拡大しようという声も上がり、私はその調整役の事務局を担うようになりました。寄付を募り、用具や看板も少しずつ揃えました。

16回目の昨年は、約1000人のボランティアが参加。町内19海岸の清掃をして、ごみ3200キロを集めました。現在は高松市に合併され、ごみの運搬は市に依頼しています。

毎回、町内外から休日の早朝にわざわざ多くの人が参加してくれるので、気持ちよく地球環境保全のために汗を流していただけるよう、毎回工夫を重ねています。作業終了後に各会場で実行委員が、ごみの減量や分別の方法、循環資源の大切さをパネルで紹介しています。また、参加者の感想を聞き取り、収集したごみの量や大型ごみの記録をまとめます。

高松市に合併後、各自治会に「衛生組合」が設置されました。衛生組合の活動は、自治会内の道路や河川の清掃、ごみステーションの管理、ごみ分別の指導、害虫駆除などです。

私たちは以前から「海辺に面した自治会こそが、目の前の海を一番身近な自然と捉えて守っていける、海岸の不法投棄を無くす最初の人たちだ」と話し合っていました。しかし実際には、住民の意識には、海や海岸は収奪するもの、利用するものという考えが、長い間の生活で染み付いているようで、残念ながら自然を保全するという意識は希薄なようです。不要になった大型ごみや生活ごみを、海や海岸に投棄する住民が後を絶たないのです。

われわれの活動は、17年目にしてやっと次のステップに進める環境が整いつつあります。目的意識を持った私たちボランティアと、自治会の衛生組合、そして行政の協力関係の構築のステップアップです。話し合いを重ねながら海辺のごみ回収と環境保全を目指したいものです。
暮らしの中に3R精神が定着する道のりはまだまだ遠いですね。

アースデーinあじ 水ぎわクリーン作戦












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