『初代公式テキスト編集担当者として』 東 寿浩 出版社勤務 合格者の皆様、はじめまして。東寿浩と申します。公式テキスト関係の編集を、10年程度担当させていただいた者です。この度、僭越ながらトップメッセージ執筆の機会をいただきましたので、編集者としてテキスト制作の裏側についてお話できればと思います。 2007年のことです。当時は駆け出しの編集者で、私がまず考えたのが「環境関係で何か本を作りたい」ということでした。そこで、知人の大学院生に「環境関係の研究をされている先生を紹介して欲しい」とお願いをして、お会いしたのが浅利美鈴先生でした。「ごみ検定を作りたい」というアイデアを伺い、それが「3R検定」となり、実行委員会が組織されていく中で、その圧倒的なパワーに驚き、周囲も驚きつつ喜んで巻き込まれていくのを見てさらに驚き、そして自分もそうなっていたことに自分で驚く、という強烈な経験をさせてもらいました。 テキストの編集作業も猛烈でした。原稿回収、調整、テキスト右下のパラパラアニメの製作など、ハイスピードで作業が進んでいき、2008年の9月頭にテキストが出来上がった時の熱気を忘れることができません。その翌年の2009年には問題集を出し、2010年には「3R・低炭素社会検定」と名前を変えて検定自体も大きく前進していきました。加えてテキストの中でごみ処理の歴史の部分を書かれた稲村光郎さんの長年の研究を『ごみと日本人』という書籍にまとめるお手伝いもさせていただき、3Rがごみの世界を越え、人文書界隈で受け入れられていく様子を見て、時代の大きな変化を感じたものです。 『3R検定公式テキスト』が2008年に出た時と比べても、時代は大きく動いていて、そのスピードは一層速くなっている、そう誰しもが言います。そういう時代だからこそ、基礎に立ち返ることが求められているのかもしれません。このテキストで学ばれ、合格された皆さんは、3R・気候変動に対して俯瞰的に、かつ細部も見る目をお持ちです。その力は、時代が変わっても失われることはなく、むしろより輝きを増すはずです。どうぞ、そのお力を地域で、職場で、ご所属のコミュニティで活かしていただき、これからの世界を創造していくために、そしてご自身の人生のために使っていただければと思います。皆様の一層のご活躍を、陰ながら応援させていただきます。 |
東 寿浩 |
【プロフィール】
東 寿浩(あずま よしひろ)
大学卒業後、2005年から2018年までミネルヴァ書房で編集者として働き、初代『3R検定公式テキスト』(2008年)以降、退職まで後続企画や改訂版の編集業務に携わった。
現在は東京の出版社にて勤務

さん.jpg)
