「カボチャボックスは今もあるのだろうか?」 松本 高秋 一般財団法人環境事業協会 理事長 名称も新たに「第17回3R・気候変動検定」の受付が8月1日から始まりました。11月17日の検定日には受験者の皆さま方が、それまでの努力と得られた知識により大きな成果を上げられますよう、私ども検定事務センターとしてもお祈りしております。 (セーヌ川でのパレードとスイム) 7月27日、パリでオリンピックが開幕しました。開会式での各国選手団は入場行進ではなく、船に乗り込んでセーヌ川での「船上パレード」という驚きの趣向。パリという街全体をひとつの会場に見立て、観光名所を随所にちりばめながら、かなり過激な演出も含めてなんとも型破りなものでした。 また、トライアスロンのスイム種目はセーヌ川で実施されました。今からさかのぼること20年ほど前、私は仕事でパリに駐在し、セーヌ川のほとりを毎日歩き、川にかかる橋を日々渡っていました。清らかとは到底言えないあのセーヌ川。パリの下水道は(少なくとも当時は)合流式で雨が降ると生活排水がセーヌ川に流れ込むしくみだったはずです。 かつて、大阪の道頓堀川で水泳大会を実施するという“とんでもないアイデア”に大阪市の職員は真剣に立ち向かいました。が、実現には至りませんでした。無理もなかったと思います。しかし、「セーヌ川の大腸菌は少なくとも道頓堀川の4倍以上」(読売新聞)ともいわれる中、かの国はオリンピックでそれを実現してみせました。
(巨大なカボチャボックス) 話は変わりますが、リユースでひとつ思い出すことがあるのです。 私が在仏当時、パリの街のいたるところに人間の背丈よりも大きい緑のカボチャ状の特大ボックスが設置されていました。ボックスには何カ所か穴が開いていてそこから空き瓶を差し入れます。要するにワインボトルの回収ボックスです(実際はワインだけでなくビール、ジュース、オリーブオイル、ジャム・・・とにかくめったやたらと瓶入りのモノが多い国です)。家庭で空になったワインボトルをパリ人はとにかくここに投げ落とします。カボチャボックスの中で瓶が割れようが誰も気にしません。中身が残っていようがお構いなしです。大きなボックスに投げ込みますから派手に音が鳴り響きます。とにかく大規模に回収してリサイクルかリユースするシステムだったのでしょう。 私の仕事は廃棄物に関係するものではありませんでしたからそれ以上深く調査しませんでした。いずれにせよ、収集方法がなんとも大雑把、きわめてアバウトなものでした。けども不思議なことに、これはこれで馴染んでしまうととっても便利で、むしろある種の心地よさを感じるようになってしまうのであります。
セーヌ川での入場行進やスイムとカボチャボックスとは全く無関係、繋がりのないコトです。ただ、なんとなくですが、少し通底するものがあるように私は感じてしまうのです。細かいことは考慮せず、とにかく然るべき目的に向かってやるべきことをするという割り切り、大胆さ(=大雑把さ)みたいなことでしょうか。 ただ、結果として残るのは実現させた事実です。環境問題への取り組みにも、ひとつ一つの小さな積み重ねとともに、このような大胆さが求められているのかもしれません。 そんなことをぼんやり感じながら、オリンピックのTV観戦で画面に映るパリの街の風景の中に「あのカボチャボックスは今も存在するのだろうか」と探してしまう日々です。 |
松本 高秋 |
【プロフィール】
松本 高秋
・1984年 大阪市役所入庁 環境行政のほか区役所、 秘書、経済、議会などの業務を担当
・2021年6月 一般財団法人環境事業協会 常務理事
・2024年6月 同上 理事長