「スウェーデンの衝撃」
もう25年以上も前のことになる。私はスウェーデンで研究する機会を得た。スウェーデンでの生活は驚きに満ちたもので、とりわけスウェーデン人の環境への意識の高さは衝撃的であった。
私が住んだ集合住宅は快適そのもので、真冬でも24時間ずっと20℃にコントロールされていた。スウェーデン滞在中はずっと不思議に思っていたが、帰国後に調べてみると木質系バイオマスを用いたコージェネレーション(熱電併給)による熱供給であった。
私が滞在したスウェーデンの人口は現在1000万人ほどで、世界人口の0.13%ほどである。人口だけでみたら小さな国が、地球規模の問題である気候変動に対し積極的に取り組んでいる。それぞれの国には様々な事情があると思われるが、それでも世界全体で積極的な気候変動対策は喫緊の課題である。
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【プロフィール】
高部 圭司
NPO法人才の木理事長 京都大学名誉教授
1985年 京都大学大学院農学研究科森林科学専攻 博士後期課程修了。農学博士。
1985年 北海道大学農学部林産学科に助手として着任。
1989年 京都大学農学部林産工学科に助手として着任。
1995年 京都大学農学部林産工学科に助教授に昇任。
1997年 スウェーデン農科大学木材微細構造研究センターに招聘研究員として勤務。
2010年 京都大学大学院農学研究科教授に昇任。
2020年 京都大学を定年退職。京都大学名誉教授。
2021年 NPO法人才の木(http://www.sainoki.org)理事長に就任し現在に至る。
地球環境、森林、木材などに関する講演会、トークカフェなどを企画・実施している。
【著書】
「木質の形成 第2版」共著 海青社 2011年
「あて材の科学」共著 海青社 2016年
その他木材科学の専門書多数
「木は何を見てきたの?」高部圭司 訳 化学同人 2021年
「象は何を聞いてきたの?」高部圭司 訳 化学同人 2021年