Vol.160「幸せの青い鳥は環境食育活動を通して学んだこと」 中村 早苗

 


「幸せの青い鳥は
環境食育活動を通して学んだこと」

中村 早苗


 


 私が所属しているNPOエコラボでは地域資源を活用した体験型環境食育講座を開催しています。食の生産・流通・保存・調理・廃棄のLCAに注目し、各過程での環境負荷低減、マネジメント視点に基づいた食の廃棄物発生抑制プログラムを実施しております。
  環境配慮型農業を実践されている農場で農業体験と生物多様性の学び、フードマイレージ指標を理解した地産地消エコクッキング、ソーラークッキングなど環境負荷を低減し、地域の食の価値を高めるプログラムを開催。食の管理に3S(整理・整頓・清掃)や、在庫管理・適量購入・可視化・定位置化など、生産現場で行われているマネジメントを家庭レベルで行うことも提案しています。
 食における環境負荷低減を提案するたびに、豊かな自然環境に育まれた食文化の魅力を強く感じます。自然を尊重し、地域の絆を深め、世代を超えて受け継がれていく伝統食の奥深さ。ご指導いただいた地域の方々との温かな交流も貴重な体験です。
 今、新型コロナ感染症の影響で環境食育活動が制限を余儀なくされているなか、身近なひとたちと囲む食卓が、私たちの心を豊かにしてきたことに気づきました。またウクライナ情勢によって、海外に依存するわが国の食とエネルギーの将来を真剣に考えることとなりました。
 現代社会の思わぬ弱点を見た私たちは、「幸せの青い鳥は身近にある」と気づかされました。ローカル重視の環境教育は地域資源の価値を再評価し、持続可能な社会形成につながる一歩になると感じています。

中村 早苗

中村 早苗
石川県金沢市在住。
NPOエコラボ 理事長。
KES北陸環境機構 主幹審査員。
3R・低炭素社会検定 リーダーゴールド(両部門)。
行政の環境基本計画策定に参画、環境教育プログラム開発と普及活動を行うほか、環境マネジメントシステム審査員として活動している。
2009年 経済産業省主催「省エネコンテスト」家庭部門 経済産業大臣賞
2022年 農林水産省主催「第六回食育活動表彰」教育等関係者の部
農林水産大臣賞 (NPOエコラボ)

ページの先頭へかえる