「バイオ燃料 ~市民が支えるバイオディーゼル燃料 その2~」 使用済み天ぷら油などから第二世代バイオ軽油を製造し、京都市の市バスやごみ収集車による実証運行に成功!!
中村 一夫 ◎
京都市では、1997年に開催された地球温暖化防止京都会議(COP3)を契機に、市民、事業者と連携を図って、低炭素社会の実現に貢献する具体的な資源循環型システムを構築する取組みとして、全国に先駆け廃食用油のディーゼル自動車の燃料として循環利用するバイオディーゼル燃料化事業取り組んできましたが、最近の自動車排ガスの規制強化により、新型車両の排ガス防止装置などの高度化により、従来のバイオディーゼル燃料の高濃度使用時に技術的課題が生じるようになりました。 この理由は図に示す様に、ディーゼル自動車は炭化水素系の軽油の使用を前提にしていますが、今までのバイオディーゼル燃料はエステル化合物という、沸点も発熱量も少し異なる燃料であり、旧型の自動車では円滑に利用出来ていましたが、これからの新型車両への高濃度利用には、軽油と同じ様な炭化水素化合物に変換する必要が生じてきました。
そこで、(公財)京都高度技術研究所・京都市は、トヨタ自動車などと共同で、温室効果ガスの削減と再生可能エネルギー導入拡大を目指す環境省「地球温暖化対策技術開発・実証研究事業」の受託事業としてバイオ軽油実用化プロジェクトを実施し、市民の回収活動と連携した廃食用油燃料化事業を一層普及拡大させ、次の世代に引き継いでいくため、廃食用油などを軽油性状に近い炭化水素に変換し、車両適合性のある第二世代のバイオディーゼル燃料(バイオ軽油)を生産するシステムを開発・実証し、京都市の市バスやごみ収集車による実証運行に成功しました。
今後は、実用化に向けて、低コストで効率的なプロセスとして連続式のパッケージ型バイオ燃料システムの開発と本格プラントの整備に向けて、更なる実証研究に取組み、その実証研究により、将来的には、廃食用油からバイオ軽油だけでなく、バイオガソリン・ジェット燃料を製造できるシステム開発に挑戦し、「天ぷら油で空を飛ぶ」といった夢の実現に向けて、石油業界の方々とも共同研究していきたいと考えています。 |
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