Vol.23 国連気候変動枠組条約COP17の成果と今後の視点 早渕 百合子



国連気候変動枠組条約COP17の成果と今後の視点 早渕 百合子


昨年2011年11月28日~12月11日、南アフリカ・ダーバンにおいて、国連気候変動枠組条約第17回締約国会議(the Conference of the Parties : COP17)および京都議定書第7回締約国会合(the COP serving as the Meeting of the Parties: CMP7)が開催された。

[これと並行して、気候変動枠組条約の下での長期的協力の行動のための特別作業部会(The Ad Hoc Working Group on Long-term Cooperative Action under the Convention: AWG-LCA)第14回会合(第4部)および京都議定書の下での附属書I国の更なる約束に関する特別作業部会(The Ad Hoc Working Group on Further Commitments for Annex I Parties under the Kyoto Protocol:AWG-KP)第16回会合(第4部)並びに第35回補助機関会合(科学上及び技術上の助言に関する補助機関会合:SBSTA35、実施に関する補助機関会合:SBI35)が開催された。COP会合だけではなく、同時に様々な会合が開催され、多くの議題が議論されているのである。]

このCOP17会合では、京都議定書の第二約束期間を設定することに合意がなされたほか、全ての締約国が参加する新たな将来の枠組みについて法的文書を作成し、2020年から実施することを定めたプロセス「ダーバン・プラットフォーム特別作業部会」が設置された。COP17会合の成果を概説する際に挙げられる成果の一つが、「ダーバン・プラットフォーム特別作業部会」の設置であろう。この新たな作業部会は「Ad Hoc Working Group on the Durban Platform for Enhanced Action」(強化された行動のためのダーバン・プラットフォーム特別作業部会)といい、気候変動枠組条約の下に設置することが合意された。ではこの作業部会、いったい何をするのか?この作業部会では、すべての国に適用される議定書、法的文書又は法的拘束力を有する合意成果を遅くとも2015年までに得て、2020年から新しい枠組みを発効させ、実効に移すための議論をする。法的文書や法的拘束力を有する合意成果というものがどういったものになるかは、今後の議論を是非追っていただきたい。

また、ご存知のとおり、京都議定書の第一約束機関は2008年~2012年であり、今年2012年末で第一約束期間を終えることとなる。そのため、COP17会合では2013年以降の京都議定書の第二約束期間の設定に関する合意もなされている。しかしながら、日本は、すべての国が参加しない京都議定書は公平性などに問題があるとして、第二約束期間には不参加の立場を表明し、成果文書にはこの日本の立場が反映されている。また、第二約束期間の参加国の数値目標設定の議論は決着しておらず、約束期間についても2013年1月1日から5年間とするか、あるいは8年間とするかといった2案についても議論が決着していないため、AWG-KP会合(前述、京都議定書の下での附属書I国の更なる約束に関する特別作業部会)でもう1年議論を続けることとなっている。こちらの議論内容も、今後是非追っていただきたい。

最後に、次回のCOP18はカタール・ドーハで、11月26日~12月7日(予定)で開催されることとなっている。COP17での成果が今後どのような議論と成果につながっていくのか、是非皆さんでご確認いただきたい。今後の国際交渉の動向に目が離せない。 






早渕百合子

【プロフィール】
早渕 百合子
九州大学 応用力学研究所 地球環境力学部門 特任助教
3R・低炭素社会検定実行委員

【経歴】
2006年 京都大学大学院エネルギー科学研究科修了 博士(エネルギー科学)
2006~2007年 京都大学エネルギー理工学研究所
2007~2012年 (独)国立環境研究所 地球環境研究センター
2012年~ 現職




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